「山の幸と海鮮は…やはり、相容れぬ存在なのか…。」
「お前は何を言ってるんだ。」



扉間さんに御もっともなツッコミを入れられました。うちはイズナです。
いや、キノコって言うからこっちはウニじゃん?
山の幸と海鮮…住む場所が全く違うし、生態系も違う…味も違う…衝突し合う存在なのか!?
いや、違う。海鮮のパスタで偶にキノコが入ってたりするし、必ずしも衝突するわけじゃない。
「…だから、きっとうちはと千手も仲良くなれるよ!」
「黙れ。兄者を添え物扱いするな。そもそも、パスタってなんだ。ウニは寿司で食べた事がある。」
「えッ、パスタ知らないの?!てか、その年でウニって生意気だね!」
「黙れ!だから、パスタってなんだ!」
そんな感じで小一時間、兄さんたちの修行を見つつ駄弁っていた。
最初は、お互い少し警戒してたけど、すぐに仲良くなった。そもそも、戦場じゃないし、ただ兄さんたちの監視しろって言われただけだし…。
すぐに口裏合わせしました。はい。
てか、兄さんたちも鈍感だわ。こんなに近くに居てバレナいって凄いよね。
兄さんたちが感知タイプじゃなくて良かった。
そうそう後、扉間が誰だか気が付いたよ。
みんなの大好き卑劣様だよ!ナルトスで大人気だよね!囮役は貴様だ!って感じで…後、水の無い所でこれだけの水(ry
「……初めてあった時、忍じゃないと言ってたじゃないか。どうして、忍になった。」
「うーん…本当はなるつもりは無かったんだけどね…。色々とあって戦場に出る事になったんだ…。」
「…そうか。」
なんかいきなり雰囲気が暗くなったぞ。卑…扉間君よ…そんな顔するなよ。
なんか、あからさまに忍を辞めて欲しいって顔をしてる。
卑劣、卑劣と言われてるけど、根はとっても優しいんだな。
けどね。流石に、沢山、人を殺したし、もう後戻りは出来ない。
きっと、碌でも無い死に方するのは、目に見えている。だが、自分の守りたいものを守るには戦うしか無い。
だから…
「なぁ、卑…扉間!」
「なんだ。イズナ。後、何か言いかけただろ。」
「いや、何も言いかけて無いよ??あのさ…私達も組手しない?」
「はぁ?組手って…。」
「いや、唯見てるだけじゃ、つまんないじゃん?それに、家族以外の人とも組手してみたいし!」
「したことが無いのか?!」
何か物凄く吃驚された!え!家族以外の人とも組手ってするんだ!!
いや、待てよ…そもそも、同年代の友達が居ない!!殆ど、マダラ兄さんかタジマ父さんとしか触れ合って無いわ。後はお付きの人達とか家庭教師の人とか一族の大人の人達…時々、ヒカクさんとかに会うけどさ。
「というか、同年代の子と遊んだこと無かったわ…扉間が初めての友達だよ!」
「…………お前の家はどうなってる。まぁ、良い。やってやる。」
何か白い目で見られた気がするけど、気にしないもん。


てか、絶対に舐められてるよな…。フフ…うちはを舐めるなよ!小僧!



*



「ッ!早すぎる!何を使った!」

瞬歩を使って、腹パンしました。なんて言えるわけがないので…。
「ハハ!忍が自分の術について教える訳ないじゃん!!」
「馬鹿かお前は!術を使うな!組手の意味が無いだろう!」
「あっ、そうか。」
あ、ホントだ。術を使ったら意味ないわ。何やってんだろう私…そう、とぼけた顔で呟くと扉間にため息を吐かれた。
「ったく、次は術を使うなよ?」
「うん!今度は使わん!」
そう言うとお互いすぐに構え直し、地面を蹴り飛び掛かる。
扉間の組手といい体術は、マダラ兄さんには劣るが幼いながらも中々良い動きである。流石、二代目火影になる男か…。
だけど、まだまだ甘い!体術に関しては私の方が強い!
「ソラァ!って、あっ…」
「ガッ!」
思いっきり振り上げた拳が扉間の顎にクリーンヒットした。そして、ガツゥン!と嫌な音も響く。
扉間は小さな悲鳴をあげると、そのままドサッと倒れてしまった。
や、やっちまった…死んでないよね?そんなに脆くない筈だけど…だって、あの生命力に関してはゴキブリ並みの千手一族だよ?
てか、そもそも二代目火影になる男だよ?死ぬ訳ないよ?扉間が死んだらマダラ兄さんが二代目火影になるの?
無理無理無理!マダラ兄さんは優しいけど、口下手だし、不器用だし、ウニ頭だし、協調性がないし、絶対に無理。なったとしても、マダラ兄さんの行動パターンを知り尽くしてる人が補佐にならいないと駄目だね。居ないと闇落ちする。
そう思ながら、扉間に駆け寄ると…気絶していた…。良かった…マダラ兄さんが闇落ちしないで済む…!ちなみに、私が殴った顎には赤く痣が出来ている。
たいした怪我じゃないので、簡単な医療忍術で直したが、気絶したままで起きる様子が無い。
仕方ないから、私の膝に頭を乗せて寝かした。世に言う膝枕だぞ!にしても、扉間可愛いな〜。
これがあの穢土転生という卑劣な技を創る男になるとは思えないよ…。
にしても、扉間の頭を撫でているのだが、髪の毛は意外とフサフサして柔らかい!!!とっても気持ちいぞコレ!
マダラ兄さんみたいなゴワゴワの剛毛じゃない!感動した!
ちなみに、マダラ兄さんの頭をウニ頭と呼んだのは、髪の毛の形もあるが、本当に硬いからなのだ。
さわったら突き刺さって地味に痛いんだよね。それを本人に言ったら地味に傷つくだろうし、気にし始めてウザイから言わない!
マダラ兄さんは顔には出さないが、意外とガラスハートだぞ!これ豆知識な!
そうこうしてると、扉間がパチっと目を開けた。あ、手を扉間の頭に載せてたままだった。
その瞬間、扉間は目を真ん丸にし、顔を真っ赤にさせ飛び起きた。
あっぶね…扉間の頭が私の顎に当たる処だったぜ。
「な、ななななな何やってるんだ!!!!!」
「あ、頭を撫でてた!扉間の髪の毛は柔らかいね!」
「そそそんな事よりもおま、おまえ!」
「どうしたの?扉間?そんなに慌てて…顎大丈夫?」
「だ、大丈夫だ…じゃなくて!」
どうしたんだ。物凄くテンパってるけど…。
うん?膝枕が原因かな?この年の子には膝枕は早かったかな?初心くて何だか可愛いぞ!
扉間は立ち上がると、息を切らしながら大声で叫ぶ。
「もう一度、組手を始めるぞ!!!それと!!!」
顔を真っ赤にさて何か張り切り始めたぞ。
「さっきの高速移動した奴を教えろ!」
命令口調だと!?人にものを教えてもらう時の態度か!なんかそういう処はマダラ兄さんに似てるな。
「えっと、瞬歩のこと?」
「そうだ!さっきの高速移動した奴!さっさと教えろ!!」
うわぁ…ギャグ切れし始めたぁ…マダラ兄さんと何か同類だわ…扉間は…。
扉間とマダラ兄さんは絶対に相性が悪い。会わせたら、睨み合いが始まってからの喧嘩が始まるわな。


同族嫌悪って奴だわ。



*


暫くの間、兄さん達の監視がてらに、扉間と修行をしたり、遊んだりした。



まぁ、修行と言っても私の為じゃなくて扉間のためと言った方が良いかもしれない。
最初の頃の扉間と私の力は雲泥の差で、もし戦場で彼に会っていたら瞬殺していただろう。
だから、彼があまり得意としない体術とかを手取り足取り教えたりした。
瞬歩も最初の頃は遅かったが、段々早くなっていって、今では瞬歩を取り入れた体術とか鬼ごっこをしたりしている。
子供って、飲み込みが本当に早いね!
弟子をとったらこんな感じなのかなぁ〜って思うとオラワクワクスッぞ!
今では、一応、対等にやり合えるくらい扉間は成長した。なんか感動する…。
「イズナ!聞いてくれ!兄者に体術で勝ったぞ!」
「本当!?凄いね!頑張ったかいがあったね!」
「あぁ!」
扉間が嬉しそうに二カッて笑った。うわぁぁぁ扉間が可愛いよぉぉぉ。鼻血が出そうだわ。
「それと…イズナ…今日…の夕方…空いてるか?」
「うん?夕方?予定は何にも入ってない筈だけど…。」
「此処の近くの村で祭りがあるんだ…一緒に行かないか?」
扉間が顔を赤くしてモジモジしながら言うのマジ可愛過ぎィ!断れる訳が無いじゃないか!
「良いよ!!兄さん達にバレない様にね!」
「そっちもな!」
そう言って、とりあえず扉間と別れた。


*


「お父さぁぁん!父上ェェェェ!お祭り行かせてよォオ!!!」
「駄目です。」
「何でェェ!」
「危ないからです。」
「危なく無いし!もう、1人でも自分の身は守れるし!大丈夫だって!ねぇ!ねぇ!行かせてよ!友達と約束しちゃったんだよ!約束は守んないと!ね!」
「貴女に友達が居たんですか?!」
「別に誰と遊んだって良いでしょ!お願いだからぁ〜父上ぇ〜!お祭りくらい行かせてよォオ!」
そうタジマ父さんに抱き付いたり、髪の毛を引っ張って主張しているのだが、全く効かない…このクソ親父め!!
祭りに行きたいって言ったら即駄目だからね?
腕を組んで動じないってどういう事だってばよ。後、ついでに、財布を取られたし…この馬鹿親父がぁ!
「タジマ父ざぁぁぁん!祭りに行かせろォオォオ!ザイフを返ぜぇぇ!」
そう叫びタジマ父さんの背中をゲシゲシ蹴ると、深いため息をつきながら、渋々財布を返してくれた。
やったぜ!成し遂げたぜ!
「はぁ…全く…貴女って子は…仕方ないですね…。目を瞑ってやるのは今回だけですよ。9時ぐらいには帰って着なさい。」
「はーい!!」
そう元気良く返事すると、急いで自分の部屋に戻って支度した。
久しぶりに可愛い花柄の着物でも着ていくかな?女の子らしい格好なんて本当に久々だ。
現代日本に住んでいた頃より何だか青春してるわ!



*



瞬歩で何時もの場所に行くと、扉間が待っていた。
何時も着ている黒いタンクトップに袴の姿ては無く、何かしっかりした格好をしている。
気合いが入ってるなぁ!
「ごめん!遅れちゃった!待った?」
「い、いや、大丈夫だ。さっき来たばかりたからな…行くぞ。」
「うん!」
そう返事すると、扉間は私の手を強く握って引っ張って来た。近頃の草食系の男子とは違うな!
そのまま付いていくと、祭囃子と賑やかな人の声が聞こえてきた。この世界での祭りなんて初めてだ。
二人で手を繋ぎながらトボトボ歩いていると、やっと目的地に来た。
花火があがり、屋台が立ち、その村の目抜き通りには浮かれ騒ぐ人々であふれている。
屋台の種類は現代日本とそう変わらないのだが、お面とかは何故か変な物が多い。何かトビとか言う人が付けてたグルグルの変なお面がある…。
にしても、美味しそうな匂いが…ハッ!たこ焼きだ!それにお好み焼きとかもある!その隣にはかき氷が!それにじゃがバター!買わなければ!
「扉間!扉間!何食べる!?全部、美味しそうだよ!全部、買っちゃう?」
「流石に、全部は食べれないだろ。」
「うーん。だったら、手始めにたこ焼き食べてから、他の物を買おうか?」
「それが良い。」
そんな他愛のない会話をしながら、屋台を回っていた。ベタな金魚掬いとかで扉間と勝負して負けたり、お揃いのピアスを買ったりと色々と楽しんだ。
大体の屋台を回り終えると、何時の間にか村はずれの神社の方まで来ていた。
「はぁー美味しかった!此処ぐらいに来るともう人気もないね!」
「当たり前だろ。こっちには屋台なんて無いしな。」
「だよねー!にしても、お祭りに誘ってくれてありがとう!」
「あ、あぁ。」
「それとさぁ、このお揃いのピアス!一生大切にするよ。」
そう言うと、扉間は顔を赤くしている。照れてるな!可愛くてお持ち帰りしたいぞ!
いや、駄目だ。私が危ない人になる。ノーショタ。ノータッチ。
しんと静まり返った神社の本殿で二人してのんびり夜空を眺めていると、突然、扉間が口を開いた。
「忍を辞める気は無いのか。」
「ハハッ…辞める気なんてないよ。今更、そんな事…言えるわけがない。」
「どうして…!」
「どうしてって…だって、私も君もそうだけど、沢山の人を殺してきたんだよ?そんな奴が死ぬのが怖くなって戦場から逃げた?腑抜けにも程があるでしょ。それに、自分の守りたいものを守るには戦うしかない。何もせずに何かを失う気はないんだ。」
「・・・・・。」
「それに、碌でもない死に方をするだろうなーとは、粗方、想像は出来てるし…覚悟はとっくの昔に出来てる。にしても、どうしてこんな事を?」
そう聞くと、扉間の奴は顔を伏せてぼそりと呟いた。
「………お前の兄がうちは一族の人間だとバレた。」
「…ああ…そういう事か…。じゃあ、私の方も明日の朝ぐらいには言われるなー。」
この関係も今日で終わりか…そう呟くと、扉間は悲しそうな、寂しそうな何とも言えぬ顔をしてる。
「それじゃあ、君と戦うのも時間の問題か…まぁ、良いんじゃないかな?瞬歩も出来るようになったしさ。」
「・・・・・。」
「そんな顔しないでよー扉間ー。永遠の別れじゃないんだからさ!戦場で顔を合わせるでしょ?!敵だったとしても、元気かどうか確かめられるし!」
駄目だ…扉間に全く反応が無い…と思ったが…。
「俺以外の…。」
「うん?」
「俺以外の忍に殺されるなよ。お前を殺すのは…この俺だ!」
「そりゃあ、コッチの台詞!そっちも、私以外の忍に殺されないでよ。」
「あぁ。」
そう言うと、お互い持っていたクナイで金打した。
金打と言うのは誓いの印として、金属製の物を打ち合わせたことを言う。
武士だったら刀とか、女の子なら鏡とかね。
私達の場合は忍だったから、クナイでやった。
クナイを打ちつけた時、扉間の顔は覚悟を決めた叱っ裏したものになっていた。
幼いながらも凛々しくて、何だか惚れてしまった。
初恋は叶わないと誰かが言ったが確かにそうかもしれない。
嗚呼、けど扉間に殺されるのなら、良いかも。そう思いながら、クナイを懐にしまい、帰ろうとすると、扉間に呼び止められたので、振り向く。
その刹那、唇の上でチュッと小さく音がした。
気が付いたら、顔が最高潮に赤くなってる扉間が目の前にいた。私も釣られて赤くなっているに違いない。
てか、ファーストキスを…扉間に取られた!
扉間にキスをされたと、実感した時には扉間はもう居なくなっており、私1人が神社に残されていた。


そんな満月の夜の出来事だ。



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