やっぱり人を斬ることは慣れない。


前世の記憶が邪魔する所為で、人を殺すたびに罪悪感を覚える。この世界では人殺しが悪だという概念は薄い気がする…というより、忍であるから人殺しに躊躇なんかしては駄目なんだろう。
けど、殺した相手にも家族が居て、仲間がいて、同じように、ご飯を食べたり風呂に入ったり、寝たりしてる。
相手は自分と大差ない人間。そう考えるだけで吐気がしてくる。だから、そういう事をなるべく考えないようにして戦っていた。
けど、それが揺らぐ時がある。
それは、自分と同い年ぐらいの子供と戦っている時だ。
この子も自分と同じように家族に連れられて戦場に出ているのかとか、此処に来る前に母親とかに無事で帰って来いと言われて送り出されていると想像すると…ッ!
だからせめて、気を失わせてからなるべく苦しくない様、綺麗に殺していた。そのことについては、兄からは何も言われなかったが、父からは『優しすぎる』と言われた。
確かにそうかもしれない、私は自分の事よりも他人を優先してしまう節がある。
こんな事なら、前世の記憶なんて無かった方がマシだったのかもしれない。
前世で培った道徳心と知識が私を苦しめる。




*



「マダラ兄さぁ〜ん!マダラ兄ざぁーん!」
「どうした?イズナ?」
「布団で寝たいし、お風呂に入りたいし、寝る時ぐらい鎧を脱ぎたい!」
無 言 で 殴 ら れ た !まぁ、言ったて無駄だって分かってるけど言いたくなるじゃない?
ついでに、今は戦が始まってから二日目ぐらいの夜。
敵にバレるため、温かいご飯は食べれないし、愛すべき布団では寝れないし、お風呂にも入れない。
「明日で終わるんだから、それまで我慢しろ!後、敵に夜襲される可能性だってあるんだ!鎧は脱ぐなよ…分かったな?」
「ぐぬぬ…。」
「返事!」
「わかった…。」
ジト目でマダラ兄さんを見ていると、ため息つきながら『ったく、仕方ないな』って感じの顔でマダラ兄さんに手招きして来たので近寄ると、抱き寄せられた。
「今回はこれで我慢しろ…。」
「うん!わかった!」
やっぱ、木よりマダラ兄さんの方が柔らかいし温かいし落ち着くわ。当たり前だけどな!
そのまま朝までグッスリ眠った。
ちなみに、私が寝てる間にマダラ兄さんが子守唄を歌ってたけど、私が赤ん坊の頃から上手くなっておらず、クソ下手糞だった。
けど、こういうのも結構良いかもしれない。

今の所、歌なら私の方が上手い。



*



初めての戦は終わり、全力を出した所為でヨレヨレで帰ってきた。


最後まで自分の足で里に帰りたかったけど、年齢的にも身体的にも限界が来てしまい、フラフラ歩いてたら、疲れてるであろうマダラ兄さんにおんぶして貰った。
その途中、一族の色んな大人たちから「頑張ったな!」とか「何時も悪戯ばっかりしてる奴には見えなかった!」とか「でかしたぞ!」なんて声をかけられたり、頭をなでられたりした。
残念ながら返事を返す気力は無く、そんな私の姿を見た大人たちは大爆笑している。
滅茶苦茶、腹が立つが言い返す気力すら無いので、そのまま放置した。
でも、時々マダラ兄さんに「生きてるよな?」って聞かれるから、それだけは「あー」だの「うー」だの言って返事してる。
にしても、兄さんからは野生の匂いがする…うん、どんなに疲れても帰ったら即、お風呂に入ろう。




*



「ねぇ、ねぇ!兄さん!新術の開発に付き合ってよ!」

「あー…すまねぇ…イズナ…ちょっと、用事があって無理だわ。」
「用事?ふーん、分かった!また別の日に付き合ってね!」
「おう!」
そんなこんなで初めての戦から数週間たってからだ。マダラ兄さんの様子がおかしい。
私が修行に誘うと必ず付き合ってくるのに何と断られた!何時もなら喜んで付き合ってくれるのに…。
ま、まさか、女の子!?ついにマダラ兄さんに好きな子が!?良かったね!!兄さん!!
あの兄さんに好きな子が出来るなんて…!これで、クレイジーヤンデレサイコホモにならずに済むよ!
そう思いながら、兄と別れルンルン修行場に行こうとした時だ。
「イズナ…ちょっと…。」
ゲッ!タジマ父さんの声だ…私って何か悪戯したっけ?いや、今日は何もしてないはずだけど…。
「父上、神に誓って言います。今日、私は何も悪戯して「その件で来たわけじゃありません。しかし、その言葉を聞くに昨日はしたんですね…。」えへへ…。」
私の言葉を聞いたタジマ父さんはため息を吐くと、本題を切り出した。
「まぁ、その件はさておき、つい先ほど里を出っていたマダラを追えますか?」
「へ?兄さん?普通に追えるけど?何かようでもあるの?すぐに呼んでくるよ?」
「いえ、呼ばなくても良いです。イズナ…貴方はマダラを監視しなさい。あの子は今、別の一族の子供と会っていると部下から聞きました。貴女はマダラよりも感知は長けているし、それに気配やチャクラの消し方も…その子供が何処の一族の人間か分かるまで、マダラの後を付けなさい。良いですね?」
「は…はーい。」
えぇー子供が誰と遊んでるかですら親が突っ込んでくるの?何か嫌だな〜。まぁ、里の外に出てる時点で他の誰かと会ってるんだろうとは想像してたけど。
後、兄さんは結構、雰囲気に出やすいタイプだし…タジマ父さんはそう言うとこ敏感だからなぁ…。
許せ…マダラ兄さん…私は兄さんと彼女の恋を守れそうに無いよ…。



*



縛道の五十五、掴趾追雀を使えばマダラ兄さんの居場所なんてイチコロだよ!!!
とりあえず、気配から何から何まで消して、瞬歩でマダラ兄さんのいる場所に向かっていると、その途中で懐かしいチャクラと気配を感じた。
扉間だ!あの時の戦いでは弱ってたけど、チャクラの感じだと元気そうだ!
けど、扉間ってあそこに会う以前にどっかで見たことあるような…。
まぁ、とりあえず、マダラ兄さんを見張るには丁度いい場所にいるから挨拶しに行くか!
扉間の背後から三メートルぐらいの場所に着くと小声で呼んでみよう。でも、覚えてるかなぁ?
「おーい。扉間ー久しぶりー。」
「ッ!?」
あばばば!物凄くビビられたってばよ!やっぱり、覚えてないのかなぁ?
「お、お、おおおお前は・・・イズナ?」
「あー!良かった!覚えててくれたんだ!扉間!元気?後、傷は大丈夫?」
「あぁ…もう治った…にしても、お前…何時の間に背後に…気配を一切感じられなかった…。」
「え?ついさっきだけど…。」
扉間が何だか悔しそうに顔を俯いてしまった。うん?私って何か悪いことした?
とりあえず、扉間が見ていた茂みの奥を覗いてみると、マダラ兄さんとパッツン少年…男の子だったぁああ!!!
勘違いしちゃったぜ!彼女とか言っちゃった!その二人が一生懸命、組手をしている。
どちらも、大体は力量は同じだが、パッツン少年の方が兄さんよりも強いな。うん。
ジーッと二人の様子を見ていると、扉間が質問してきた。
「それよりも、お前…どうして此処にいるんだ?」
「うーん、それがね…アソコに居るウニ頭は…私の兄さんなんだ…父上に言われて監視しろって…。」
「なッ!」
ウニ頭…喧嘩したとき、本人に言ってしまい大激怒させた言葉だ。結構、ファッションには気をかけてるからな!マダラ兄さんは!
それにしても、扉間がさっきから私の顔をずっと見てる。うん?ちょっと、待って…。この反応は…まさか、扉間…貴様も…!
「…実は、あのキノコ頭は…俺の兄者だ…俺も大体、お前と同じ理由だ…。」
「そ…そうだったんだ。へぇーあそにいるパッツンの子か?あの子のチャクラ質ってもろ…。」
「それを言うならお前の兄だって…」



「うちは」「千手」



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