ようやく、私も5歳になり滑舌も良くなった。それと、忍術等も母からもう教える事が無いという処までたどり着いた。


一応、私は一人前のくノ一になったらしい。戦場に出ようと思えば出れるのだが、死にかけるかもしれないし、母さんとの約束で絶対に人前では忍術等を使わない、それに人殺しは御免こうむる。そのため、家では手鞠をついて遊んだり、茶道とか生け花、女の子らしいことをやっている。週に三度ぐらいは体が鈍らない様に忍術や体術の修業をしているけれど…。でも、この頃、手鞠をつくのは自粛している。なんといっても、父のタジマが私の手鞠してる姿を見て、動きにキレがあって中々良いですね…忍びに向いてるかもしれないとか言い始めたのだ。その時、私は笑顔ではぐらかし、母が冷や汗掻きながら、イズナは女の子だし…危ないわ、と言って止めてくれた。後、マダラ兄さんが全力で止めてくれたのも覚えている。あの必死な形相は、コラ画像作られるぐらい面白くて笑ってしまった。その後、怒られたけども。

そんな時だ。

母に空区の廃墟にある猫バアの処までおつかいを頼まれたのだ。自分に合う忍具と紙に書かれた忍具を買ってこいとの事だ。
猫バアの処には一度、連れて行ってもらった事があるので、大丈夫なのだが、うちはの里からは、歩いていける距離だけれど遠い。その道中に他の一族の忍びや宿敵?千手一族の忍びに遭うかもしれないから、家紋の付いた着物ではなく普通の可愛い薄桃色がかった白い生地の着物で行く事にした。それと、武器である手裏剣とクナイを懐に隠し、またたびボトルを持って猫バアの店まで向かった。
所謂、正月に某番組で良くやってる初めてのおつかい状態である。ちなみに、このおつかいは兄も父も知らない。あの過保護な二人が知っていたら行かせてなんてくれないだろう。
里の中を歩いていたら、色んな人達に声をかけられ挙動不審になりかけた。普段は母と一緒にいるため、そういった対応は全て母に任せていたので、慣れていなかった。まぁ、大半は一人でお使い偉いね≠竄辯可愛い格好しちゃって、何処かにお出かけ?≠ネんてものである。私は適当に子供らしく返事しながら、足早に里を去ろうとしたその時だ…。
「あっ、イズナちゃんじゃないか。里の外に何か用事?」
ギクッとなりつつ、声が聞こえた方を振り向くと、兄と同い年ぐらいの少年であるヒカクがいた。一本結びでまだ幼いが凛々しい顔をしており、里の女の子達からは人気である。兄とは違う種類のイケメンだ。
「うん!お母さんに頼まれてお使いに行くの!」
「へぇー、偉いね。マダラとかは知ってるの?」
「…知らない。」
「えっ、」
「お母さんだけ知ってるよ。兄さんや父さんに言ったら行かせてくれないもん。」
「ハハッ…だろうね…。」
「だから、絶対に言わないでね!」
「うん、分かったよ。じゃあ、気を付けてね。」
ヒカクは満面の笑みを浮かべて、手を振りながら私を見送った。
爽やかなイケメンや…後、地味にフラグを建てた気がするけど…まぁ、大丈夫だろう。

そんなこんなで私にとって初めてのおつかいが始まった。

何時もの女の子っぽく可愛らしい歩き方では無く、ブリ●チの瞬歩で移動していた。
前世の頃の漫画やらゲームを忍術に変えるのがこの頃の趣味になってきた気がする。
そんな事はともかく道草喰わないで早く帰らなければいけないのだ。
今日の夕方頃には恐らく兄と父が戦から帰ってくる。その時までに帰らなければ、一族を巻き込む形で兄と父が大騒ぎしだすだろう。血眼になって私の事を探すに違いない。
想像するだけで頭が痛くなる。
そうこう考えている内に、やっと空区の門の前まで着いた。
相変わらず、人の気配がなくボロボロの現代風の廃墟が静かに鎮座している。さっそくその中に入り、トボトボと廃墟の中を進んでいると忍猫に会い、またたびボトルを渡して猫バアの武器屋まで案内して貰った。
「おやぁ?イズナのおじょーちゃんじゃないか。こんな処まで一人で来たのかい?」
「うん!お母さんに頼まれて、忍具を買いに来たの!頼まれてた武器は出来た?」
そう言うと、猫バアはグルグルと鳴く猫を撫でながら、微笑ましげに答えた。
「勿論、出来とる。他に買うもんは無いかい?」
「えーっとねぇ…殺傷能力が低くて、持ちやすい奴って無いかな?後、人を直ぐに寝かせる薬とか…」
「ふむ…なら、其処にある千本と眠り薬を持って行くとええ。御代はタダにしてあげる。」
「え、良いの!」
「その程度のモンなら幾らでも入るしねぇ〜。それに、うちは昔からの上客だ。今日はサービスしてやる。」
やったぜ!タダで千本と眠り薬が手に入ったぞ。にしても、猫が沢山すり寄ってきて…此処は天国なのか?猫好きの私にとってはまさに天国だぞ。家では猫なんて買えないから、しばらくの間、猫でモフモフしつつ猫バアと他愛もない会話をしていた。
「イズナのおじょーちゃん、もうそろそろ帰った方が良いんじゃないかい?あと少しで夕暮れ時だよ。」
そう、猫バアに言われてハッと時計を見ると、もう午後4時半を回っていた。
「うわぁあああ!!!お兄ちゃんにバレたらまずい!!」
「うん?どうしてだい?マダラのぼーずは知らないのかい?」
「知らないよ!私が空区に来てる事なんて!バレたらどうなるかなんて、想像もしたくない!」
「そ、そうなのかい。じゃ、気を付けて帰るんだよ。」
「うん!バイバイ!」
そう言って私は猫バアの店から瞬歩で走り去っていった。てか、マジでヤベェよ。ヤバイよ。ヤバイヤバイ。バレたら殺されないけど、嫌な予感しかしねぇよ。
高速で森を駆けていると、目の前から複数のチャクラがぶつかり合っている感覚がした。
恐らく、戦争で忍び達が戦っているのだろう。その中にうちは一族のチャクラは一切感じないが、どうしたものか。
正直、遠回りをしても良いのだが、それだと時間がかかって、夜に帰ってきてしまう。

それだけはダメだ。それだけはダメ。兄と父がヤバイィ!もう、戦場だろうがどんな場所だろうが、突っ切る!


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