案の定、火の国と水の国の間で戦いが始まり、頭領であるマダラとイズナは隊を引き連れて水の国へ遠征し、その土地に住まう同盟関係の鬼灯一族の元に訪れていた。基本的に大国は戦争で一つの一族だけを雇う訳では無い。他にも色々な一族を雇う。といっても、相性もそうだが主軸とする一族と同盟関係である一族のみだ。故に、うちはと千手を両方雇おうとする馬鹿はいない。元よりうちはと千手を雇うにはそれなりの金が必要であり、如何に大国であっても破産するのは目に見える。そんな中で比較的、友好関係高く…利害の一致により鬼灯一族とは他の一族よりも仲が良い。住んでいる場所が遠いのもあるが、敵が同じなのだからもあるだろうが。

「イズナちゅあ〜ん!!久しぶりぃ〜!!うちに嫁に来ない???」

そんな最中、戦争が始まる前の緊迫感を破壊し、上記の事を叫びながらハマグリの様な頭をしたチョビ髭の男が自身の隊長であるイズナに抱き着き、頬擦りしている姿を見てカガミは驚きのあまり固まってしまった。他の一族が此処までフレンドリーにうちは一族の人間に関わる事は少ない。他の隊員達はそんな彼の事を空気の如くスルーしている。
そんなチョビ髭の男を呆れた目で見たイズナはボソッと小声で彼の耳元に呟く。
「……幻月…後ろ。」
そう言われた瞬間、幻月は瞬時に背後からの殺気を感じ取り、壊れた機械の様に振り向く…。すると、其処には般若の仮面をかぶっているような恐ろしい形相をし、此方を見ているうちはマダラの姿があった。
「…貴様…鬼灯の…俺の妹から…離れろォォオ!!!このチョビひげがぁああ!!!」
「ファーーー!?なんでマダラがここに居んだよ!??作戦とかで白蓮の所に居たんじゃないのか??!」
「とうの昔に済ませたわ!!!良いからイズナから離れろォォオ!!俺の妹に手を出すなど許さァァァアん!!」
そうマダラが怒鳴り声をあげ、手加減なしに大鎌を幻月に対して投げつける。
「ギャアアアアア!!!イズナァアア!!!助けてくれぇええ!!!」
「一々、過剰反応しなくていいよ…兄さん…何時もの事じゃないか。」
そうイズナが面倒臭そうに幻月に対して投げつけられた大鎌をマダラの方へと蹴飛ばす。それをマダラは綺麗に掴みとるとブツブツと文句を言う。
「幻月!貴様は何故、何時もイズナに纏わりつく…!子供ではあるまい!手を出してみろ…殺してやるぞ!」
「兄さん…同盟相手に言う言葉じゃないよ。」
「全くだな。」
そうギャアギャア騒いでる三人を見ながら、カガミはセツナに質問する。
「セツナ副隊長…あの人って……。」
「奴の名は鬼灯幻月―――ヘラヘラ軽口を叩いてはいるが鬼灯一族の中でもかなりの腕利きだ。油断するな。」
セツナはイズナにベタベタしている幻月を忌々しげに睨み付けている。イズナはため息つきながら幻月に尋ねる。
「で―――幻月…何か言わなきゃことがあるんじゃないのか?」
「おぉ!そうだった!オレの隊はあんたに付いて行けってよ!」
「良いのか?前線で突撃するんだぞ?」
「無の奴がいるんだし、アイツの手の内はオレの方が分かっているからな。オレがアイツと戦う。その方が良いだろ?」
言われてみればそうだ。無っていうのは包帯グルグル巻の塵遁使い―――結構、面倒くさいし、変な事を言ってくるから苦手だ。扉間は止めておけだのどうのこうの。
「あぁ…ソレが良い。彼奴は扉間並みに面倒だ…。」
「全くだ…おめぇも、扉間に気を付けろよ…色々と危ないからな…アイツ…。」
「何が危ないんだ?普通じゃないのか?うちの兄よりもマシだと思うが…。」
そう言うと幻月はほんの少し顔を顰めたが、肩に手を置いて頑張れよ!って励ましてきた。まるで意味が解らんぞ!!!




*





「で…戦場は何処になる。」
イズナが尋ねれば、幻月は黙って大国が描かれている地図を出し地面に広げ、火の国の先端にある場所を指差した。周囲には原作の舞台になる波の国も存在している。周囲の隊員達も幻月の話を聞くため集まって来た。
「戦場は火の国の先端付近だな…。其処にうちの一族と他の一族の奴らが陣取ってる。水の国は本国や火と水の間にある4つの島国での戦闘を避けたがっているからな。火の国が海洋資源を欲して戦いを仕掛けてきてる。故に此方はアッチが諦めるまで防戦を続け、一時的ではあるが休戦するのを望んでいる。」
「火の国は相変わらず貪欲だな。しかし、相手は千手だ。かなりの時間が掛かるぞ…停戦か休戦させるには千手の頭である柱間を一時的に再起不能にさせるか、千手一族に打撃を与えるしかないぞ。」
「どんな無理ゲーだよ…柱間は忍の神とか謳われてるんだぞ…?って言ったら、コッチも瞬神って謳われてるな。策はあるか?」
幻月がニヒルに笑いかけると、イズナも悪戯を企てる子供の様に笑みを浮かべながら答えた。
「フッ、無い事はない。奴を―――千手柱間を殺せるかどうかは分からないが、痛手を負わせる程度の事は恐らくできる。それさえ出来れば、確実に千手は怯むぞ。」
「偉い自信だな。何を使うんだ?」
「ある魔槍を使う。私が長い年月をかけて作った呪いの槍だ。チャクラが存在する以前の力によって作られている。回復阻害の呪いも掛けてあるゆえ、奴が傷を負って笑っていられるか見ものだがな。」
フフフッ…と笑うと、周囲の隊員達がビビッた気がしたが気のせいだな!!!別段、私は暗黒微笑(笑)なんてしてないぞ!!!偶には余裕がなくなった柱間さんが見たいだけだゾ!!!扉間の焦った顔は散々見たから、今度は柱間さんな。
「怖い槍つっくたな、オイ。呪いか―――だとしたら、あの柱間でも耐えられるか微妙だな。忍術が関係ないなら重傷を負わせられるかもしれん。でも、マダラの奴が許すか?柱間と戦うのを?」
「大丈夫だ。其処の事については許可を貰っているし、槍の性能を知っているがゆえに、どうやら、柱間が呪いに耐えられるか見てみたいようだ。」
この兄妹は千手関係になると本当に怖いと、敵対してはいるが千手一族の柱間を不憫に思う幻月だった。


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