タジマ父さんが死んだ。

その時の私は父や兄とは別の部隊の隊長として戦って居たので、どんな風に死んだかは分からないが、マダラ兄さんや他の人が言うに、タジマ父さんが仏間さんを巻き込んで自爆したそうだ。
そのため、死体は残って居ない…が、六道仙人の宝具の一つ…うちは一族に代々、受け継がれて来た芭蕉扇だけは残った。
それからと言うもの、お互い頭領を無くした千手との戦いは暫くの間、休戦になった。
2人の存在は、両一族や大国とって、大き過ぎる存在だったからだ。
父さんの死を知らされて、悲しいとか考えるより先に、タジマ父さんらしい死に方だな〜と思った。ついでに、あの世で結婚式でもやってんのかと考えると笑えて来る。あっ、本人達に言ったら2人の拳が同時に飛んで来そうでコワイ。
あの世に行ったら、真っ先にあの2人に殴り飛ばされそうなんだけど…コワイから長生きしよ…うん。
ちなみに、父さんの葬式には、一族の人達は勿論、多くの大名やお偉いさんの爺さん、同盟を結んでる忍一族の長も来た。
タジマ父さんはマダラ兄さんと違って社交性があるので、色んな人達に慕われてた。
といっても、純粋に父の死を悲しむ人は半分…もう半分は違う。
もう半分の奴らが一体、何者なのか?と言うと、下心満々でうちは一族に取り入ろうとする奴らだ。
そのため、次期頭領になるマダラ兄さんに対しては媚びるし、私に対しては気持ち悪いぐらいねっとりとした視線でジロジロ見て来るから、もの凄くウザい。ちなみに、私は誰に対しても色目なんて使った事なんて無いからね。そう言う任務より、切り込み隊長として前線で戦う任務の方が多い。
にしても、父が生きている内に誰かと結婚しとけば良かったなーと今更ながら後悔してる。結婚してたら、変な視線を浴びずに済んだかもしれないからな!
まぁ、恐らくその所為だろうが、マダラ兄さんは葬式の時、始終、不機嫌でイライラしている。
マダラ兄さんの怒りが爆発する前にようやく葬式は終わりを告げ、解散した。


*


やっと色んなモノから解放されて、屋敷に帰った時だ。
堰を切ったように、マダラ兄さんが突然、声を上げて泣き始めた。兄が声を出して泣くなんて、あまり見たことが無かったのでコッチはテンパって挙動不審になりかけた。
とりあえず、泣いてるマダラ兄さんを縁側に座らせて泣き止むまで隣で、肩を撫でたり、抱き締めたりして落ち着かせた。
「……すまないな…イズナ。だらしない処を見せて…。」
「別に謝る必要は無いよ。泣きたいなら思いっきり泣いても良いんだよ?我慢は体に良く無いからね。」
「…………。」
グスッと鼻を啜るだけで兄は何も答えなかった。全く素直じゃないんだから…、確かにマダラ兄さんは、人一倍不器用で、口下手で、感情表現が下手くそだが、それ以上に優しくて、自分の事よりも他人を優先させたり、誠実で仲間思いでもある。
だから、仲間や自分の事を慕ってくれた人たちを亡くすと、すぐにふさぎ込んでしまう。
タジマ父さんもその点に関しては、兄の事を心配していた。まぁ、そう言うマダラ兄さんのメンタルが弱い処を補強するのが私の役目でもある。
私が生きている間は、絶対に変な事はさせないゾ!
にしても、これから大変だなー。タジマ父さんがしていた事務仕事が全部、私や兄の処に回ってくるんだろー。
でも、タジマ父さんの部下の人がいるからまだマシか…けど、里の上役(老害)を相手にするとか、柱間さんと戦う並みに嫌だわ。老害を相手するなら扉間と柱間さんを同時に相手する方が幾分かマシですね。はい。
アッチの方が物理で黙らせることが出来るからいいよね。特に扉間とか…扉間はいびるのが楽しい。
あの子は真面目に殺しに来るから、それをからかうのが良いのだ。速さに関してはコッチが勝ってるから、よく戦場で命がけの鬼ごっこをするのよね。危ないから、良い子はマネしちゃダメだぞ!
勿論、鬼は私だが!扉間の頬っぺたムニって触ったり、ちょっかい駆けるのがマジ楽しい。
アッチはマジ切れして攻撃してくるから怖いけどな。基本的に当たらないけど…。
「………イズナ…。」
「うん?!どうしたの!?兄さん?」
「父上が死んだ時から…目が痛いんだ……、イズナは…大丈夫か…?」
マダラ兄さんの声で現実に戻った。
目が痛いだってぇ?泣き過ぎたんじゃない?って言いたいのを我慢して、何か思い当たる節が無いか考えてみる…。
私が目が痛くなったのは…万華鏡写輪眼を開眼した時だよな…お母さんが目の前で死んじゃった所為で開眼したんだよ…。
万華鏡写輪眼は力が強過ぎて幼い頃の私じゃコントロール出来なかったから、滅多に使わなかった。力が大好きなタジマ父さんですら、絶対に使うなって念押しして来たし…。
そもそも、写輪眼だってあんまり使わない…使う時は…柱間さんとか強い人限定だなー。
他の相手は使う程、強く無いし…扉間とか…ウヘヘ…。とりあえず、マダラ兄さんの目を見てみよう。
「兄さん、ちょっと、写輪眼を見せてよ。その…痛くなる奴…。」
「うん……あぁ……。」
そう言うと、マダラ兄さんはコッチを振り向いたのだが…物凄い顔をしてる。
涙や鼻水で顔がグチャグチャになって、何時ものイケメンな顔じゃないゾ!つい吹き出しそうになったじゃないか!バカヤロー!よーし、このまま、ちょっと、放置しよう。にしても…。
写輪眼が普通の模様じゃない…やはり…。
「……万華鏡写輪眼。」
「…知ってたのか?!イズナ!!」
「うん。とりあえず、兄さん、この手鏡で自分の眼を見て見なよ。ついでに顔も。」
「ああ…って、なッ!!?」
鏡を渡した瞬間、急いで顔を拭うマダラ兄さん面白すぎるから、GIF画像にしたい。
某呟き掲示板に投稿したら、滅茶苦茶リツイートされそう(小並感)
「兄さん、兄さん、顔を拭うよりも、自分の眼を見なよ。」
「っ!そ、そうだったな!!」
もう嫌だ、この兄さん。一々、反応が面白過ぎだわ。
それにしても、万華鏡写輪眼って、タジマ父さんが言ってたけど、使いすぎたら失明するんだよな…強大な力の代償…みたいな感じで…原作でもサスケェがすぐに失明してたし…。
なるべくマダラ兄さんには万華鏡写輪眼を使わせない様にしよう…。
「これが例の…父上が言っていた万華鏡写輪眼か…。」
「兄さん、万華鏡写輪眼は、確かに強力な力をもたらすけど、使いすぎたら失明するから…だから、あんまり使わないでね。タジマ父さんだって、私に使わせなかったし…。」
「?!どういう事だ!!イズナ!もうすでに開眼してのか?!」
「うん、開眼してたよ…母さんが死んだ時に…。」
「そうだったのか…。」
そんなこんなで、兄さんに万華鏡写輪眼の危険性を語ったけど、右から左に流れますわ…コレ…。
絶対に万華鏡写輪眼を使いまくるよ…でも、使いすぎは不味いって分かったら温存するだろうから大丈夫だろう。自分の管理位、大人だから出来るよね?
あー、これから先…何だか大変なことになりそうだ…。



*



「僕を弟子にしてください!!!お願いします!!!強くならなきゃいけないんです!!」


ど う し て こ う な っ た 。
とりあえず、今起こった事をありのままに説明すると、早朝五時に五歳児の少年が弟子入りするため、屋敷に押しかけて来たみたいな。とっくの昔に起きてたから別に良いけど…朝っぱらから、ロック・リー少年みたいなノリの熱いアッタクはやめてくれよー全く…。
けど、この少年はゲジマユの様な濃い顔ではなく、寧ろさっぱりしてて可愛い…天然のクリクリパーマとたれ目の処とか…。
「あのさぁ…君…。」
「弟子にしてくれるんですか?!」
「いや、弟子とかそういう問題じゃなくて…今、何時だと思ってるの?」
「朝の…五時です…。」
「人の家に押しかけても良い時間だと思ってるのかな?」
「いえ、本来なら午前中に行くべきだと思います…しかし、この時間帯じゃないと、イズナ様は家に居ないし取り合ってくれないと、父上に教えてもらいました!!!」
「へぇー、君のお父さんの名前は?」
「うちはアキラです!」
ほほう、アキラの息子か…どうりで、天然パーマに見覚えがあったのか。ちなみに、アキラって言うのは、私の部隊の隊員の一人で、うちはでも極僅かしかいない医療忍術を使える人間の一人でもあり、幻術が得意な忍である。ふむ、とりあえず、後でぶん殴っておこう。でも、まぁ、彼の言ってる事はあながち間違いじゃない。タジマ父さんが死んだ後の事務処理とかで今日一日中忙しいから、話に付き合う時間なんてないし…良いタイミングで来たとも言える。
「アキラの息子ねー…名前は?」
「うちはカガミです!!!」
「カガミ君か…残念だけど、私は弟子をとってないし、忙しいから無理かな。」
「えぇえええええ!!!そこを何とか!お願いします!」
ヒシっと足に抱き着いてきた。何だこの可愛いショタは!!!このトキメキは扉間の時以来だぞ!!!でも、これがアキラの計画通りだとしたら…騙されてはいけない…騙されてはいけないよ…私…(念押し)
そもそも、私の弟子になるイコール私の班にいれなきゃいけないじゃん。子供を戦場で使う気はサラサラ無いから根本的な処から無理だし断ろう。
「無理な物は無理。私に弟子入りする前に、自分の父親に忍術等を教わりなさい。話はそれからだ…家に帰りなさい。」
「嫌です!」
「帰れ。」
軽い殺気を出してカガミ少年をビビらせて足から離すと、彼は涙目になりながらも「絶対に諦めませんから!」と叫んでピューっと走り去って行ってしまった。
何か厄介な少年に好かれたな…にしても、マジ可愛い。ショタには弱いんだよ!!!私は!!!カガミ少年の可愛いさに悶えてると、後ろから足音が聞こえてきた…恐らく兄さんだろう。
「イズナ…朝っぱらから騒がしいが…何かあったのか?」
「あ、兄さん。おはよう。うーん、弟子入り志願者が押しかけて来ただけだよ。気にしないで寝てていいよ。」
「弟子入りって…こんな時間に押しかけて来たのか…。」
「うん…にしても、今日は忙しくなりそうだよねー。」
「忙しくなりそうじゃなくて、忙しくなるんだ…隊の編成を色々と上役と相談して変える事になるだろうしな……。」
「げぇ…あの老害共と……。」
そう呟くとタジマ父さんが死んで以来、初めてマダラ兄さんに頭をぶん殴られた…威力も強くなってるから、立ち直ったな…。拳の威力で兄の体調が分かる私って結構、凄くない?!



*



「ねぇねぇ、兄さん。私の隊に何か五歳児が紛れ込んでるんだけど?どうして?ねぇ?」

「…イズナ、これは話し合いの結果…決まったことだ…。」
「ファァアァ!?」
翌日、隊の編成が発表され、屋敷で兄に直接そのメンバー表をもらったのだが、アキラが私の隊から兄の隊に移動しており、代わりに例の五歳児であるカガミ君が入っていているのだ。それ以外は何時ものメンバーだったから良かったが…。
兄さんの隊の医療忍者が死んだからアキラがソッチに移動するのは仕方ない。けど、何故カガミが私の隊に入るんだ。こんなの絶対におかしいよ。
「兄さんとこの医療忍者が戦死したから、ソッチにアキラが移動するのは仕方ないけど、何で代わりがカガミなんだよ!他の医療忍者は居なかったのかよ!?」
「我がままを言うな。お前が医療忍術を使えるから大丈夫だろ。それに人手不足で回せるのは子供ぐらいしか居ない。」
「だったら、必要ないよ。一人少なくても支障はない。」
そう言うと、マダラ兄さんは眉を顰め、睨み付けてきた。いや、実際そうだし…一人少なくてもカバーは十分出来る。それに、私は子供を戦わせるつもりはない。他の同族の人間が使っていようが、私はこれだけは嫌だった。
そもそも、あの年齢で戦場なんてものを見る必要ないんだよ。人を殺す事なんて本当は知らなくたって良い訳だし…まぁ、忍に生まれてしまった時点で避けられない事だが…。
「……イズナ、もう一度、言うが…これは決定事項だ。変える事はない。これ以上、我がままを言うなら…俺の隊に戻すぞ。」
「………チッ、分かったよ。」
過保護で束縛的なアレがあるのでマダラ兄さんの隊に戻るのはNG。前線で戦ってる筈なのに、兄の傍を離れられないので、切り込み隊長なのに、切り込んではいけないと言う謎の事態が発生するのだ。援護としてマダラ兄さんの傍に居るのは良いのだが、自分の実力を発揮できずイライラしていた。昔、それを見かねたタジマ父さんが兄と私を引き離したのだ。私から引き離されたマダラ兄さんは、物凄く不満そう…いや、心配らしく、私が戦場で捕まって強姦されるんじゃないかとか、味方に変な事をされるんじゃないかと不安だと言って反対していたが、父の決定を覆すことは出来ないので渋々従っていた。
そのお蔭で私は小隊を率いるほどの指揮官になれた訳だが…ちなみに、小隊の人数は20人ほどで構成され、うちはの中でも選りすぐりの実力者が集まっている。私が徹底的に鍛えたのでマダラ兄さんの隊に引けを取らないほど強くなった。
そのため、戦場でも最前線の方で戦っており、気を抜けば直ぐに死ぬ様な場所だ。その中に戦争未経験の子供を入れる上役共の気がしれぬ。
「安心しろ。カガミと言う少年は大人顔負けの戦い方をするそうだ。昔のお前みたいにな。足手まといにはならないとアキラの奴が断言していたぞ。」
「そりゃ、楽しみですネ。でも、実戦ではどうなるかは分からないよ。」



兄を睨みつつ、もう一度、メンバー表を見てため息を吐いた。これから、どうなるやら…。


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