やっぱりイズナは強い。


負けると端から分かっていた筈なのに…とても悔しくてたまらない。そう思いながら扉間は彼女を見ていた。
イズナは自分よりも年下…恐らく瓦間と同い年ぐらいなのだろう。だけど、瓦間や兄者、俺よりも体術やその速さは上を行っている。
一緒に修行した時に、身を持って理解していた筈だが、十分じゃなかったみたいだ。
一瞬で見極められてしまい刀を弾かれ、あっという間に倒されてしまった。
あのまま、続けていたら確実に殺されていただろう。
戦った後の奴は、何時も通りヘラヘラと軽口をたたいているので、本気なんて出していないのは一目瞭然だ。
それに、あの年齢で写輪眼をすでに開眼していたなんて驚いた。一緒に修行をしていた時にそんな素振りを微塵も出していなかった。
父上の方を見ると、イズナを射殺さんばかりに睨み付けている。戦場でさえ見せる事のないその殺気は俺や兄者を震え上がらせるには十分だった。その殺気に当てられているにも関わらず、イズナの奴はケロッとした顔をしている。
しかし、奴の父親であるうちはタジマは父上の出す殺気にすぐに気が付いて、イズナを父上から隠すように前へ立ちはだかり、同じように此方を睨み付けてきた。
それから、すぐに煙玉を出してマダラ共々消えてしまった。
「あの娘が…タジマの…。」
そう父上が呟き、何時もより眉間にしわをよせ、険しい顔をしてイズナ達が消えた場所を眺めている。
それから、里に戻る途中、父上はイズナについて俺達に色々と語り始めた。
この頃、うちは一族で一部の人間が見たこともないような忍術を使い始め、とても厄介になっているという事と、その忍術を開発したのがイズナだという事を。
普段は悪戯ばかりしている少女として有名だが、戦闘に関しては大人顔負けで、非常に才能あふれた少女だと。将来、彼女は多くの忍達を恐れさせるほどの化け物になるだろうと…そのため、あの場で殺せるなら殺しておきたかったと父上はぼやいていた。
信じられなかった。何時もニコニコ笑いながら術を教えてくれたり、一緒に祭りに行った時の笑顔からは全く想像がつかない。
昨日までは手が届く程の距離に奴が居た筈なのに、今では手が届かない場所まで行ってしまった気がする。


もう、一生、祭りの時の様に、手を繋いで共に歩いてはいけないのだろうか?



*



柱間さんと決別してからのマダラ兄さんは人が変わってしまったようだ。


私やタジマ父さんに対しては普通なのだが、他人対する態度が素っ気ないというか、何と言うか。うん。
多分、繊細過ぎる兄さんの精神は恐らく柱間さんみたいな別れや裏切りに恐怖して、他人に心を開かなくなってしまったようだ。
兄さんは昔から形が無い物を信じるのが下手くそだったのは知っていたが、もっと悪化してる。繋がりが出来てしまうがゆえに、何時か断ち切れてしまうかもしれない、その悲しみとか恐怖や憎しみが兄さんの中にあるに違いない。
そう考えると、もっと不器用で、口下手になって、他人に勘違いされて、空回りするのかなぁ〜?
ああ〜^想像しやすいぞ〜コレ〜!笑い事じゃないけど…兄さんが頭領になったら、どうなるんだろ?
何故か私の頭が痛くなってきたぞ!嫌な予感しかしないぞ!ウム!タジマ父さんには長生きしてもらわなければ…。
いや、タジマ父さんが長生きしても根本的な解決にならんわぁ…うちは一族の男って、どうして不器用な奴が多いんや…器用な人が沢山いても良いのよ?
でも、そんなマダラ兄さんも可愛いし好きだぞ!家族として愛してる!家族としてな!!!ウニ頭でも!!


*


「イズナ!!!幻術の特訓するぞ!!!」
「げげー…また幻術?さっきもやったよね?今度は新術開発しようよー!」
「あのなぁ…イズナ…うちは一族なのに幻術が苦手なのはどうかと思うぞ?」
「幻術が苦手って言っても、人並みに出来てるから大丈夫だよ。それを言うなら兄さんも体術や組手は私より弱いよね。」
「お前が規格外なんだよォー!!」
何時も通り殴られた後、滅茶苦茶、幻術の特訓をした。幻術が出来なくたって世の中、生きて行けると思うんです。
それでも、マダラ兄さんは意地になって教えてきたし…私は繊細じゃないから、細かい作業は好きじゃない。そんな事をするぐらいなら真正面から吹き飛ばした方が良いと思う。
まぁ、その後、破道の開発に付き合ってくれたから良いけども…フフッ…にしても後、もう少しで破道はコンプリート出来るぞ〜。けど、九十番台は開発しようとしてるけど難しいんだよね。
黒棺とか。でも、千手皎天汰炮はそんなに時間が掛からなかった。
千手……………扉間ァ……元気かなぁ?
ちなみに、あれから扉間とは戦場で何度か会ってます。
そして、よく命を狙われてます。てか、この頃、扉間の攻撃の仕方が卑劣になってる気がする…。扉間が成長して強くなるのは別に良いんですよ。コッチも何だか嬉しい。
だけど、仲間を使って私が疲れたであろう頃合いに攻撃して来るのは止めて欲しい。
その事を言ったら、扉間ったら「そうでもしないと、お前を殺せない!!」って宣言して来やがった…あのさぁ…可愛いから許すけど…。
男なら真正面から攻撃して来いよ…柱間さんみたいに…。
後、柱間さんとも戦った事があるけど、あの人は、完全に人間を止め始めてる気がする。
体術で良いとこまで追い詰めることは出来るけどギリギリで逃げられたり木遁で反撃してくる…忍術関係はマジ強過ぎ。マジチートだわ…あの人…木遁コワイ。
致命傷をおわせて、殺ったか?!って思った次の瞬間から回復してやがるんだからな。
ゴキブリかよ…クソ…って、正直、思ってます。
腕が何本吹っ飛ぼうと折れようと血を流しても『流石、マダラの妹ぞ!』って言って立ち向かって来る柱間さんはホラー以外の何物でもありません。
ゾンビ映画かスプラッター系のホラー映画に出演しとけよ!畜生!ホラー映画よりも心臓に悪いんだよ!コッチにとっては!
それでも戦う私を誰か褒めてくれ!まぁ、途中でマダラ兄さんが変わってくれるから、まだ良いけどさぁ…。
マダラ兄さんも大変だな!あんなチート人間と戦って!とっても疲れそう!
ついでに、タジマ父さんは仏間さんとアブナイ大人の戦いをしてるから、あんまり一緒に戦いたくない。
援護で仕方なく手伝ってるけど、本当に嫌やわ…まさに外道!って言われても仕方ない戦い方してるんだもん。えげつなくてコワイ。タジマ父さんの戦い方は、メンタルが強いと自負してる私でさえトラウマものだったわ。マダラ兄さんの教育上よろしくないね。
さっさと、この不毛な戦は終わらないかな〜。



てか、早く木の葉の里が出来てくれよ〜。出来たら絶対に火影岩の上で昼寝するんだからさぁ〜。


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