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「よぉ!サイタマ!カフェで売れ残ったケーキ有るんだけど、たべ「貴様!怪人だな!焼却!」はぁ?」
何故だか知らないが、アルバイトで働いてるカフェで余ったケーキを、いつも通りサイタマ氏とのんびり食べようとしただけなのに…。
扉を開いた瞬間、金髪サイボークの青年からブレスを喰らった。ケーキもろもろ燃えたんだけど…。
「なっ…貴様!どうして立っている!」
「WRYYYYYY!?そっちこそ、いきなり燃やしてんじゃあねぇぞ!てめぇ誰だ!どうしてサイタマの部屋に居る!てか、服が燃えちまったじゃねェか!」
ガバァと恐竜の様に口を大きく開け威嚇すると、金髪サイボークは戦闘態勢に入る。
暫くの間、変な金髪サイボーグと睨み合っていると、騒ぎを聞きつけ部屋の奥からツルツルの禿げた頭が出てきた。
サイタマ氏だ。
「あ、ディエゴじゃねぇか。どうして、全裸なんだよ。」
「この金髪サイボーグに服諸々燃やされたんだよ。察しろよ。」
「先生!?この怪人と知り合いなんですか?!」
先生?…サイタマ氏の事か…サイタマって教員免許取ってたっけ?
「う〜ん。めんどくせぇ事になったな。ちゃんと説明してやるから、とりあえず…ディエゴ…。」
「なんだ?」
「服着てこい。」
一応、尻尾で下を隠していたがやはり駄目か。俺は仕方なく服を着るために自分の部屋に戻った。
隣では薄い壁越しに、金髪サイボーグが何か叫んでいるのが聞こえる。
はぁ、何時もの事だから気にしてはいないが、服を燃やしたり破いたりしないで欲しいわ。
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「この怪人!先生と同じくらい強いんですか!?」
「WRYYY!この怪人じゃなくて、ディエゴって呼べって言ってるだろ!おい!サイタマ!先生ならちゃんと生徒に教えてやれ!」
「やっぱり、お前んとこのケーキ美味いな。」
「そうだろ!そうだろ!…じゃなくてぇ!!!」
何時もはサイタマ氏と二人で余ったケーキをのんびり食べていたのだが、今回は金髪サイボーグであるジェノス君も交えて食べている。
サイボーグの癖に人間の食い物も食べるのか…普通はオイルとかじゃあねぇのか?
そんなことを考えながら、ケーキを食べつつテレビを見ていると、金髪サイボーグことジェノス君が質問してきた。
「ディエゴ…どうして、貴様は怪人なのに先生の隣に住んでいるんだ?」
「あぁ…家賃が安いから?」
「それだけの理由でか!?」
「ああ、そうだけど…。それ以外だとな…。昔、A市に住んでたんだが、この姿の所為で騒ぎになってヒーローやら怪人に勝負を仕掛けられて、面倒くさくなって、人がいないZ市のこのマンションに引っ越してきたんだ。そしたら、隣にたまたまサイタマが居た。」
ケーキを食べながら適当に説明していたが、ジェノス君はやはり信じられないものを見ているかのように俺の事を見ている。
サイタマは俄然、聞いてない。まぁ、何時もの事だけど。
「人を襲わないのか?」
「どうして人を襲わなきゃいけないんだよ。姿かたちが変わったぐらいで人を襲わなきゃいけないのか?俺はご生憎様そういったことに興味が無いんでね。仕掛けてくるのは何時だって、お前みたいな奴とか怪人だけだよ。」
そう言うと、ジェノスは急に黙り込んだ。アレ?俺なんか可笑しな事を言ったかな?
すると、サイタマがあっ!っと何かに気が付いたかのように声を上げた。
「なぁ…ディエゴ…。」
「どうした。サイタマ。急に声をあげて…。」
「この後…何も予定はないよな?」
「あぁ…無いが…。」
そう言うと、サイタマがニヤリと怪しい笑みを浮かべ、顔を近づけて囁いてきた。
「久しぶりに… 殺 ら な い か ?」
サイタマよ…何か某阿部氏みたいだぞ。トイレのベンチの前で待って良い男を見つけたらホイホイ掘っちまうような…そんな感じの…けど、それよりも性質は悪いかもしれない。
だが…久しぶりに本気出して殺りあうのも良いかもしれない…が…。
「あ、明日バイトあるし、ちょっと無理だな…。お前と戦ったら一日中、付き合わされることになるし…」
そう答えた瞬間、サイタマ氏は思いっきり顔を机にぶつけてブツブツ呟き、その様子を見たジェノスは吃驚仰天している。
まぁ、これも何時もの事だ。どうせ土日には清々しい顔をしたサイタマ氏に勝負を仕掛けられるだろう。