バウヒニアの花言葉 | ナノ


「では、イベントの成功を記念して…」
「「「かんぱーい!!」」」

カラン…
ガラスのぶつかる涼やかな音が部屋中に響き、グラスの中に入った鮮やかな液体(※ただのジュース)を一気に飲み干した。

私たち次期生徒会メンバーを全校生徒に発表するためのお披露目イベントから一夜明けたある日の昼休み。
おなじみのメンバーはおなじみの生徒会室で打ち上げという名のお茶会と反省会を行っていた。
テーブルの上には各自持ち寄ったお菓子やジュースが所狭しと並んでいる。
中でも芸術的なまでに美しいフランシス副会長のケーキとにーに特製の絶品桃まんが狙い目だ。
あ、でもマシューくんのお手製メープルクッキーも可愛くて美味しそうだなぁ…。
味も見た目も美味しそうなお菓子の中にアルくんのやたらカラフルなドーナツとアーサー会長お手製の黒い塊が会議に支障を来たしそうなレベルで異様な存在感を放っているがあえてスルーしようと思う。
この味音痴ブラザーズめ。

「なまえちゃん…良かったら僕のクッキー食べて欲しいな…」

今回はいつもより甘めに作ってあるんだ…。
と、何から食べようかと迷っている私にマシューくんは可愛いお花型のクッキーを差し出してくれた。
ふんわり漂う甘い香りと柔らかな彼の微笑みに癒される。

「ありがとう、ぜひいただくよ。お花型可愛いね…!」
「ふふ…なまえちゃんにお花って似合うんじゃないかなぁって思って…」

そう言って微笑む彼に不覚にもときめきを覚える。
やだもうなにこのかわいいこ!!
一生懸命作ったんだ…なんて言われたらもうこれは食べるしかないよねいただきます!

「マシューくん…ありがとう…!」
「ありがたくいただきまーす。」

改めてお礼を言いクッキーを受け取ろうとしたその時、今まで私の隣で誰が持って来たかも知らぬポテチを貪っていた香くんが横からかっさらい、私のためのお花型クッキーちゃんは彼の胃袋の中に収まってしまった。

「ちょ!私のお花クッキー!!」
「ん、んまい…メープルの香りの鼻に抜ける感じがいい感じ。美味い。」
「わぁ…ありがとう香くん…君にそう言って貰えて嬉しいよ…気に入ってくれたならたくさん食べてね…。」
「ういーっす!」

ちょっとマシューくん、それ私のために作ってくれたんじゃなかったんですか!
横取りしてきた香くんをとがめるどころかお代わりをすすめる優しいマシューくんにツッコミたかったが大人げないのでぐっとこらえた。
さっきのときめきを返して欲しい、そして香くんは私のクッキーを返せ。
食べ物の恨みはおそろしいんだぞ!

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