バウヒニアの花言葉 | ナノ


そして迎えた放課後。
アーサー会長と約束した通り夕暮れの屋上に向かえば、話を切り出して来た本人は既に到着し、フェンス越しに夕焼けを眺めていた。

なんというか…やっぱり絵になるなぁ…。
夕日を浴びてきらめく金の髪が綺麗だ。
純日本人の私にとってはすこし羨ましい。

怒りっぽいし素直じゃないし口うるさい会長だけどよく見れば欧米人特有のくっきりとした目鼻立ちをしていて顔は整っているしかなり細身で脚も長くスタイルも良い。
眉毛さえ整えればかなりイケメンの部類に入るんだろうなぁ…。
なんでそんな眉毛してるんだよもったいない。
と、私の視線に気付いたらしいアーサー会長は振り返った。

「ん、なんだよ…来てたんなら声掛けろよな。」
「あ、はい…来ましたよアーサー会長。」
「今言うのかよ!おせぇよばか!」

いつも激しいツッコミご苦労様だ。

「で、話って何なんです?」
「ん、ああ…まぁ話ってほどじゃないんだが…」

話ってほどじゃないなら帰ります。
そう言おうかと思ったがまぁ一応付き合うとしよう。

「まぁ…その…なんだ…悪かったな…」
「は?」
「イベント準備、大変だったろ?」

一体何を謝られているんだろう。
まぁ確かに大変といえば大変だったけど。
大変だったのはみんな同じだとおもうけど何故私だけ個別に労われているのか。

「ごめんな、生徒会に入るの…ほんとは乗り気じゃなかったんだろ?女の子はお前ひとりだけだから居心地悪いんじゃないかとは思っていたんだが何もしてやれなくて。」

なんだ、そんなことか。
アーサー会長の言葉にやっぱりこの人は会長としてちゃんと私や他の生徒会役員に気を配っているんだなぁと、尊敬の念すら抱く。

「そんなの会長が謝ることじゃないでしょ。確かに私を強制的に生徒会役員に任命したのは目の前にいる極太眉毛のジェントルマンですけど?正直最初は会長のことちょっと嫌いでしたけど?」

でも私は、生徒会に入って良かったと思ってます。
当初は納得いかなくて色々悩んだけど、今回のイベントやその準備を通じて私はここで自分のやるべきことがぼんやりと見えてきたような気がするし。
私たちを認めてくれた学校の生徒のみなさんのために何かしたいと思ったし。
香くんやアルフレッドくん達次期生徒会の仲間とも打ち解け、唯一無二の友人だと思えるようになったし、先輩たちの良いところも見えて、性別とか関係なく良い人達なんだなぁって分かったし、私はここにいて良いんだって思えるようになりましたし。
今では生徒会は私の大事な居場所のひとつだと思っています。
今の私は他の誰の思惑でもなく確かに自分の意志でここにいるんです。

「それに今では会長のこと、好きですよ。」

正直に答えればアーサー会長はほっと息をつき、照れたように笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
紳士のくせしてレディのヘアーを乱すとは何事かと思ったけどなんだかその手が優しくて、なんとなく懐かしくて暖かくて。

「学園のことはショキブラックの私に任せてください。」

あなた達が築き上げたこの学校の伝統はちゃんと繋いでいきますよ。
そう告げれば彼は『頼りにしてるぞ、ルーキー!』なんて嬉しそうに微笑んで見せた。

俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!

…じゃないけど、『これから始まる』という言葉がピッタリ当てはまるような心境だ。
そんな清々しい気持ちを抱えながら、会長とふたり並んで夕日が沈むのを見送った。
空にはもう淡く月が顔をのぞかせている。

隣のアーサー会長がどことなく嬉しそうに見えてなんだか少し気になったけどそっとしておいた。


10.セイトカイファイブ fin



■次期生徒会メンバーはまだ見習いですし世代交代はまだまだ先のお話。
しばらくは現役生徒会のみなさんが正規メンバーです。

おまけ
欧亜戦隊セイトカイファイブ
・カイチョウレッドアルフレッド
・フクカイチョウブルーマシュー
・クマ二郎さん
・カイケイイエロー香
・ショキブラックなまえ

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