バウヒニアの花言葉 | ナノ


「いやー、今年のお披露目イベントは素晴らしかったね!悔しいけどお兄さん完敗だよ。」

と、私たちが不毛なやりとりを繰り広げる中、フランシス副会長のこの発言をきっかけに先輩方は思い思いにイベントの感想を述べはじめた。

「うん。よく役者5人だけであんな壮大な物語できたよねー。繰り広げられるヒーロー達の愛憎模様…はじまりの町でみんなでギルドを結成した時にはまさかあんな鬱展開が来ようとは思ってもみなかったかな。まさか彼が裏切るなんてねー。僕しばらくたい焼きが食べられなくなりそうだよ。」

「でも最終的には悪の秘密結社も倒したしハッピーエンドだったあるよ。まさか黒幕が主人公の父親の妹だとは思わねかったあるが…あいつらが不倫してたとは予想だにしなかったある。あとラストのアクションシーンもキレがあって良かったあるよ!」

「一般生徒を対象にしたアンケートでもかなり評判いいぞ。一丸となって苦難を乗り越えラスボスを倒す団結力を見せたお前らになら学園を任せてもいいってよ。やるじゃねぇか。」


と、紅茶片手に回収したばかりのアンケートに目を通しながらアーサー会長。
先輩たちの絶賛の声がやたら説明的なのはストーリーの進行上ご容赦願いたい。

「ありがとう!来年のこの学園のことは俺たちセイトカイファイブにまかせてくれ!」

と、そんな説明的な賞賛に次期生徒会役員を代表してアルフレッドくんが礼を述べた。
ちなみにセイトカイファイブとは私たち次期生徒会メンバーのチーム名だ。
色々候補が挙がり揉めに揉めた結果、生徒会だし5人だしもうセイトカイファイブとかでいくね?という香くんの一言でこの名前に決まった。
まぁいかにも学校組織っぽい案直なネーミングで分かりやすくていいんじゃなかろうか(適当)。

本題に戻るが今年のお披露目イベントのテーマは「ヒーロー」ということでこの一ヶ月ヒーローが大好きなアルフレッドくんと特撮が大好きな私が中心となり、ヒーロー×RPG×昼ドラというテーマで脚本を書き、加えて無気力な香くんとやる気はあるけどどうも存在感の薄いマシューくんと名俳優クマ二郎さんの5人で1本のヒーローショーを作り上げた。

正直、最初にこのテーマに決まってしまった時は発案者のアルフレッドくんやその他生徒会メンバーの事をほとんど知らずに不安ばかりが先走ってかなりブルーになっていたけれど。
でも実際にこの舞台を作るにあたって次期生徒会メンバーとは何度もぶつかり喧嘩もしたけどその度に解決し分かりあい、互いに信頼しきちんと意見も言い合えるという組織として、また友人としてもベストな関係を築き上げた。

そんな中で本番を迎えたお披露目イベントは大成功!
先輩たちだけでなく一般生徒からの評判も上々。
朝から教室は昨日のイベントの話題で持ちきりだ。
事実、私も登校するなり知らない生徒数名に握手を求められた。
次期生徒会メンバーを(いろんな意味で)知ってもらう、という点においては今回のイベントは十二分に効果を発揮したと言えるだろう。

共に苦難を乗り越えた仲間を見ると、アルフレッドくんは騒音を立てながらダイソンのごとくシェイクを吸い込み、クマ二郎さんはうたた寝をし香くんは桃まんを貪りながらスマホをいじっていた。
…お前ら歪みねぇな…。
ひとり達成感に浸っているのも馬鹿らしくなってくるくらい、他のメンバーは通常運転だ。
なんだか誰かひとり忘れている気がしなくもないけど。

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