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あの時はあれで誤魔化したというか現実から目を背けてたけど、きちんと向き合うべき時がきたのかもしれない。
香くんに好きな人がいると分かった以上、このままじゃ駄目だ。
周りから見れば私達はこ、恋人同士に見えなくも無いってことなんだよね?
それはいただけない。
だって香くんの好きな人にも誤解されちゃうかもしれないじゃないか。
もし仮にその人も香くんに気があって本当は両思いだったとしたら、私という存在のせいで香くんの事を諦めてしまうかもしれない。
気が無くても彼女持ち(と思っている)の男の子にアピールされたらその男への不信感に繋がる事は想像にかたくない。(少なくとも私はそんな男は信用出来ない)
いくら私と香くんの間にあるものが"友情"であったとしてもそれは当人達にしか分からないわけで。
傍から見たら私達は恋人同士にしか見えない、傍から見ればそれが全てなんだ。(とあの後アイスくんに教えてもらった)
つまりどう転んでも私の存在が香くんの恋へのハードルを上げかねない状況だ。
「…香くんの好きな人が私だったらこんな苦労せずに済むのになぁ…。」
疲れと眠気からぽつりと口をついて出た言葉は月明かりに溶けて消えた。
うん、なんだか考えるの面倒になってきたし今夜はとりあえず寝よう。
「おやすみ、薬研ニキ。」
胸に抱いたぬいぐるみに声を掛けて、私はそっと目を閉じた。
22.like or love? fin
■思わず本人も自覚していない本音が漏れる夢主さん。
うじうじモード突入。
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