バウヒニアの花言葉 | ナノ



「…え?」
「もしかして自覚ない?」
「自覚?なんの?」「いや、だから僕含めて周りから香との関係をどう見られてるかってこと。」
「どう見られているか…?」

そういえば香くんとどう見られてるかなんて今までこれっぽっちも考えた事が無かった。

ただ最初はペンダントの件があったから仕方なく彼と一緒にいただけだった。
そこに自分の意思はなかった、ただペンダントを返して欲しいから言う事を聞いてるだけだった。
だけど仕方なく一緒に過ごす内に、彼の内面を知って、優しさに気付いて、何だか一緒にいるのが心地よくなっていて。気が付けば自分の意思で彼と一緒にいることを選んでいた。
いつの間にか隣にいるのが当たり前になっていた。
当たり前になっていたからこそ、隣にいるのが自然になっていたからこそ、そんなこと考えたことがなかった。

「香って見てくれだけは良いしそれなりに目立つみたいだからうちのクラスでも結構噂になってる。」
「噂って?」
「君と香が付き合ってるって噂。いつも一緒にいるし無理もないと思うけど。」

言われてみれば"いつも2人で一緒にいる"ってリア充の第1歩かもしれない。
朝はモーニングコールで起こして一緒に登校して一緒にお弁当食べて放課後は生徒会で一緒に活動して終わったら一緒に帰って帰ったら遅くまで一緒にラインでやりとりして…。
1日の大半を私は香くんと過ごしている。
年齢=彼氏いない歴だから実際のところどうなのかはわからないけど、これではアイスくんの言うように付き合っていると言われても仕方が無いのかもしれない。
私がアイスくんの立場でも付き合ってるんじゃないかと思うと思うもん。

でも実際問題私と香くんは付き合っていないどころか好きあってすらいないわけで。

ん?あれ?
好きあってってどういうことだ?

私香くんのこと好きだよ?
たぶん香くんもなんだかんだ最近はパシリとか関係無く好きで私と一緒にいてくれてるよ?(根拠はないけど)
お互い好きで一緒にいるよ?
でもこの好きってなんだ?
香くんは私のことポメラニアンとしか思ってないだろうし友達としてってことだよね?
私も香くんのこと湾ちゃんと同じくらい大切だと思ってるしやっぱり友達としてってことなんだよね?
たまたま私たちは違う性別だったから混乱してるだけでちゃんと友達だもんね?
友情育めてるもんね?
だよね?だよね?

なんか訳が分からなくなってきた!

「…せっかくだし今はゆっくり甘い物でも食べながらお茶でも飲もう?アイスくんと2人になるのなんて初めてだし、色々話してみたいしさ!」

香くんとは本当にただの友達だからと、念を押して私はアイスくんの腕を取って歩き出した。
これ以上この話はしたくないという気持ちが半分、せっかくなのでアイスくんと2人で雑談したいという気持ちが半分だ。

「えっ…ちょっと、引っ張らないで服伸びる…!」


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