バウヒニアの花言葉 | ナノ


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「お嬢ちゃんその体操着ガチモン?」

お目当てのジュースと今日発売のジャンプを購入して外へ出るといきなりそう声を掛けられた。
(先週読みそびれたヤンジャンを立ち読みしていたため出るのが遅くなってしまったというのは内緒の話だ。)

「は?」
「だからー、モノホンのJKなの?」

振り返れば、よく日焼けした黒い肌にごっついサングラス、どこで買ったのか問い詰めたくなるアロハシャツ、今時無いでしょって突っ込みたくなるゴールドのチェーンで胸元を飾る胡散臭い20代?くらいの背の高い男がいた。

「はぁ…高校一年生ですけど…。」

なんか関わりたくないなーと思い、後ずさりをしながら距離をとる。

「マジか!生JKか!ていうかその校章見た事ねーなー…この辺のガッコじゃないよね?」
「はい…部活の合宿で来てるだけなので。」
「やっぱりい!俺さー、この街の色んな楽しいトコロ知ってるんだよねー。一緒に行ってみない?」
「いや、興味無いです。」

…あまり経験した事はないから判断に迷いがあるんだけど、これはいわゆるナンパというやつではないだろうか。
少女マンガでよくあるやつではないだろうか。
大抵のマンガの場合ここで彼氏なりフラグが立ってる人物なりが助けに来てくれるんだけど、生憎私は非リアの火神、間違えた鑑なのでそんな人物はいない。
逃げられなくなる前に逃げよう。
失礼します、と一言足早に元来た道を戻り始めた。

…のだったんだけど。

「待って待って!もちろん金は俺が持つよ?お嬢ちゃん可愛いしいっぱいお小遣いもあげちゃうよ?」

その程度で諦めるような男ではないらしい。
早足で歩いてもしつこく後ろから付いて来る。
まずい、このままではみんなの所にこの男を連れていくことになりかねない。
あっちには私の数百倍可愛い湾ちゃんがいるんだ、それは避けたい。

「だから興味無いですってば!」
「ねぇ話だけでも聞いてよ!」
「私未成年なんで!」
「知ってる!」

少しでも時間稼ぎになればと私は来た道から逸れて浜辺の方に逃げ込むことにした。

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