バウヒニアの花言葉 | ナノ



「よりにもよってみょうじさんとは…。」

初めての恋が始まる前に終わりそうな相手だ。
あまりにハードモードです。
ハードモードといえばみょうじさんの彼氏に求める条件の一つ目が『二次元の住人であること』だった気がしますがここは黙っておきましょう。

「うん。それにあいつ香とすげぇ仲良いしさ…かなり劣勢だよな、俺。」
カチカチ。
「ま、まぁ、この前の日曜日にでーとしたんでしょう?少なくとも好感度維持出来てるって事じゃないですか。香さんのことは何とも言えませんけど。」
カチカチカチカチ。
「でも維持じゃダメなんだよ、上げていかねーと香には勝てないって。」
カチカチカチカチカチカチ。
「まだ『恋かもしれない』って段階じゃないですか、まぁ間違いなく恋だと思いますが。」
「でもよ…だって…。」

ああ言えばこう言う。
私がそう言えば、激うじうじうじ丸のアーサーさんは何かぶつぶつ呟きながら左手で消しカスを丸め始めた(右手はシャーペンカチカチが続いている)。
いつまでシャーペンカチカチやってるんですか、しかも空いた手で練り消し生産って手遊び多すぎます。

そもそも私こういう相談得意じゃないのに…!

餅は餅屋、適材適所という言葉があるのです。
ですから「こういう話は私よりもフランシスさんにされた方がよろしいのでは?」と提案すればあっさり、「それは死んでも嫌だ。」と返された。
あの人あれでいて面倒見良いからたまには頼れば良いのに。
それはきっと彼のプライドが許さないのでしょうね。

「う〜ん…」

困ったものです。
三次元の恋愛経験ゼロの私では的確なアドバイスなんて出来る気がしません。
ギャルゲーの知識やテクなら伝授出来るのですけれど。
それにまだ気になり始めて間もないのなら、尚更出来ることは限られてきます。

だから今は、今できること。
とりあえず…

「…少し落ち着きましょうか、アーサーさん。」

と、俯いたままの親友の肩をポンと叩いだ。

「私もいますから、焦らず考えましょう。」
「菊…。」

色恋沙汰には疎い私ですが、一肌脱ぐと致しましょう。
だから焦りは禁物です。
大切な感情だからこそ、丁寧に、確実に、育んでいくべきでしょう。
せっかく芽生えた心なのだから。

それだけ伝えて微笑むと、私はお茶を淹れるために席を立ったのであった。


14.たぶん、恋心-fin



■たぶん、逃げただけ(菊様)。
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