バウヒニアの花言葉 | ナノ



「よ、なまえ。ちょりーっす、待ってた感じ?」
「…あ、今出てきたとこです…。」

14日の午前9時55分。
今か今かとインターフォンが鳴るのを待ち侘びていた私は待ちきれずに5分前に外へ出た。
外へ出たらちょうど今来たらしい香くんにバッタリ出くわした。
出くわしたのはいいんだけど隣になんかいた。

「HAHAHA!なまえ、グッモーニンなんだぞ!」

あれ?なんで?

「…なんでアルくんがいるのかな?」

まだ私寝ぼけてるのかな、なんて漫画みたいに頬をつねってみても目の前のミスターKYは消えてくれない。

「なんでって決まってるじゃないか!それは俺がヒーローだからさ!」
「マシューだよ。」
「あー、うん、だいたいそんな感じ。つーか俺もアルに巻き込まれたクチ。」

その言葉に文字通りガクッと肩を落とした。
勝手に香くんとホワイトデーデート☆とか舞い上がってた自分が恥ずかしい。
なんだよホワイトデーデートって。
そもそも私香くんにチョコ渡してすらなかったわ。

「今日は円周率の日だろ?だからみんなでちょっとしたパーティをしようと思ってなまえを誘いに来たのさ!」
「円周率の日…?」

と、耳慣れない記念日に頭上に大きなハテナが浮かぶ。

「そう!円周率は3.14だろ?それにちなんで3月14日は全米円周率の日なんだ!」

なるほど。
たしかに円周率の上3ケタは3.14だもんなー、となんか感心する。

「馴染みは薄いですが日本でも数学の日に指定されているんですよ。」

よく考えたものだなぁと思っているとすぐ背後から馴染みの深い落ち着いた綺麗な声。

「わ、本田部長っ!」

振り返るとそこには私服姿の本田部長の姿があった。
いつも見る本田部長は制服かジャージ姿(正装)なんだけど今日はシックな着物姿だ。
艶やかな黒髪に姿勢の整った華奢な身体によく似合う。
やっぱり絵になるなぁ…。

じゃなくて。

「急に背後から現れないでくださいよ、びっくりするじゃないですか!」

そう抗議すれば本田部長は「ふふ、すみません。みょうじさんの反応が見てみたくて。」なんて優雅に微笑んだ。
その微笑みは思わず見とれてしまいそうなくらい綺麗。
まったく、不思議な人なんだから。

「というかその円周率の日って何するんです?」
「うん、いい質問だな!世の中における円周率の役割を考えたり円周率が存在しない世界について考えるんだ。ほかにもパイを食べたり映画「π」を見たりもするんだぞ!」
「1時59分か午後3時9分に祝うのが一般的だよね。」
「ダレ?」
「マシューだよ…。」

うわぁ…数学嫌いには拷問の様な記念日だ。
世の中における円周率の役割を考えるとかそれを考えることすらなかったよ。

「ま、俺の場合それにかこつけてみんなで騒ぎたいだけなんだけどな!固く考えずに今日は楽しんでくれよHAHAHA!」

そんなこんなで早速アルくん宅へ向かって歩き始めた。



←back | next→

長編TOPへ戻る


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -