「○○さーん、休憩行ってきていいよ」
東先生がくれた缶コーヒーがすっかり冷めきってしまった頃。これからのさらなるピークに備え、暫しの休憩を頂く。さすがにサンタの格好で街に出るわけにはいかないから、コートだけ羽織って行く。といってもイブの夜に一人でどこか行こうかなんて考えてもなく。また温かい飲み物でも買おうかな、と自販機を探す途中。
「…お前なんでこんなとこいんだよ」
「わあーなっちゃん!グッドタイミング!」
みんなこそ何でこんなとこに。今日は要の家でDVD観賞だったはず。みんなの質問にも、休憩中、と短く答え、行く先もないままみんなに着いていく。
「さっき、プリクラ撮りに行ったのにさー」
「あれ、男だけじゃダメらしいね」
「ってことでなっちゃん、一緒に行こう!」
「女の子がいれば大丈夫みたいです」
男の子五人でプリクラ行く光景も寒いけど、そこまでして撮りたいものなのか、と考えつつも千鶴たちに引っ張られながら着いてく先はゲームセンター。嫌がる要を無理やり中に入り、六人で入るとなかなかの窮屈さ。
「要っちもちゃんとピースしてよ!」
「ほら棗も笑って笑って」
「いや、祐希には言われたくない…」
最近のプリクラは肌の色や目の大きさまで変えられるなんて、ちょっと怖い。写真の選択や、ラクガキをしてるともう休憩が終わる時間に迫っていた。
「そろそろ行かなきゃ」
「え、もう!ちょっと待って!」
「迎えに来ようか」
「ううん、大丈夫」
「終わったら要んちね」
「あー俺だけじゃこいつらの相手疲れるから、お前も来いよ」
「バイト頑張って下さい!」
はい!と千鶴から渡されたプリクラを貰い、みんなと別れる。そこにはなんだかんだで楽しそうな私たち六人の姿。それを大事に財布の中に入れて、またバイトに向かう。飲み物を買いに行こうと思っていたことなんて、もうすっかり忘れていた。
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