その日バイト終わって携帯を見ると茉咲からメールがきていた。春へのプレゼントを無事に買えたということ。わざわざ添付してくれた写真には、如何にも春らしいもこもこの靴下が写っていた。

それから、今日渡すって言ってたのに。もう放課後になるというのにまだ姿を見ていない。渡せたらまた連絡すると言ってくれてたので、多分それすらも果たせてないんだろう。


「悠太、今日茉咲見た?」

「ううん、会ってないよ」


ほとんど一緒にいるから悠太が見かけたら気付くか。どうしようかとも思ったけど、教室には春の姿も見当たらないから、悠太に断りを入れて教室を出る。いるとしたら4組か、


「あっ!なっちゃんー!」

「…ちょ、千鶴びしょ濡れ」

「いいのいいの!俺の心は今ホットだから!」


ビバクリスマスー!と叫びながら廊下を走り去る千鶴に、後ろから先生が怒る声が聞こえた。
あっという間に鞄を持って帰っていく千鶴を、何だったのだろう、と見送るのと同時にポケットに入れてた携帯が震える。それは茉咲からのメールで、渡せたとの報告だった。
なんとなく、外を見ると、12月の雨と一緒に帰る二人の姿。千鶴が舞い上がっていたのはこれか。もう、どうにかしてくれ、この片想いの連鎖。色恋沙汰なんて誰かが幸せになんかなっても必ず誰かが陰で泣いてるんだ。みんな幸せになんか、なれない。…だから嫌い。そんなドロドロしたことを考えながらも、良かったね、なんて返信する私は本当に嫌なやつだと思った。




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