最近になって寒さに厳しくなってきた今は12月。朝からなんか騒いでると思ったら、要と茉咲が付き合っているとか何をどうしたらそうなったんだろう。なんていうか、騒ぎ方が大げさ、って言ったら二人には申し訳ないんだけど。
「…どうしよう」
相談があるといって呼び出されたのは昼休みのこと。落ち込む茉咲になんて声をかけようか。気にすることない、元気出して、とかそんなありきたりな言葉で慰めたくはない。もうちょっと気が利いたことが言えればいいんだけどな、って私まで少し落ち込むとかダメ過ぎる。
「…あ、でね、棗ちゃんに相談って言うのはね、春ちゃんにクリスマスプレゼントをあげたいって思ってるんだけど…」
噂のことじゃなかったのか。見せてくれた手帳には「春ちゃんがよろこんでくれそうなもの」と題されたプレゼント候補がいくつか書かれていた。こういう時の茉咲の顔はまさに恋する女の子で、初々しくて、可愛くて。
「靴下にするの?」
「あ、まだ候補でね、棗ちゃんに聞こうかなって」
「いいと思うよ。大事なのは茉咲の気持ちだから」
そうかな、といいつつもその横顔は少しだけ赤い。一生懸命選んだものは何よりも嬉しい。春はそういうところをちゃんと見てくれる人だと思ってる。優しい、だけど優しすぎるんだ、春は。だから茉咲のことは勿論応援したいけど、なんだろうこの気持ち。
「出来れば一緒にお店とか選びに行きたかったんだけど…」
「…うん、ごめんね」
バイトだものね!ありがとう!とパタパタと音が聞こえそうな足取りで帰る茉咲を見送る。なんだか急に寒くなった気がした。
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