そういえば祐希は漫画研究部だったっけ。忘れそうなくらいのこの事実を思い出させたのは、珍しく部活動があったから。五人で描くってことで一人余るわけなんだけど、そこは公平にじゃんけんで決めた結果、見事勝ち抜いた私は読む担当。要は最後まで嫌だと言い張っていたけど、私も漫画を描くなんて無理。


「完成しました」


何日かたった頃、やっと完成したであろう漫画を手に祐希はやってきた。みんながわーわー騒いでいるのを私は完成するまでは見ちゃダメ、とまぁある意味除け者状態だったわけだ。気になってしょうがない。
やっと手渡してくれたのを手に読もうとすると、何故か既に千鶴が笑ってる。そんなに面白い漫画なのだろうか、と1ページ目を捲る。
…上手い。悠太がこんなに絵が上手かったのは知らなかった。どうやら物語は冒険物らしい。


「あ!なっちゃん、4ページは目は見ちゃダメ!」

「え、ちょ。なんでとばすの」

「いーの!俺のは失敗!いいから最後早くっ」

「そうそう。クライマックスだから」

「お前らな…!」


なんだか面倒くさくなってきて。取り上げられた4ページ目は諦めて最後のページに目を移す。
もう爆笑し始めるみんなに、怒る要。確かにこれは、なんというか、ある意味芸術かもしれない。


「あー、ピカソみたいだよ」

「…お前、それ、褒めてねーから」


だよね。結果的には満足のいくものにはならなかったんだろうな。ただ面白いのが見れたし、意外な才能も知れたし私も楽しかった。きっと漫画なんて描くことはもう、二度とないだろう。




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