この間は職業体験で幼稚園に行って、今日は中学校。なんだか思い出めぐりをしてるみたいだ。と今は懐かしくも感じる通い慣れた通学路を歩きながらそう思う。冬樹がノートを忘れたかで春が届けに行くと言うから、まあ久々だしってことでついていくことになったのが発端。この桜の木はまだあるのかと歩いていくと、校門の前に久しぶりの冬樹の姿。


「あ、棗さん、お久しぶりです」


昔からなぜか私にはなついてくれてる、っていうのか。でも初めましての千鶴に対してはああだから、きっとそれでいいんだろう。なっちゃんだけずるい!と喚く千鶴をなだめながら校舎の中に入る。うん、懐かしい。廊下のところどころに張られてる絵を見たり、すれ違う生徒を見ながら私も少し前まではあのセーラー服に袖を通していたんだ。なんだか感慨深い。そんなことを考えながらのそのそ歩いていたから、みんなと距離が出来ていたんだけど、なんでみんなして座ってんの。


「何してんの」

「うっわ!もうびっくりしたー!」

「そうだよ、棗に聞けば、」

「バッカ!聞けるわけねーだろ!」


いやだから何が。そこまで言うなら聞いてよ、こっちも気になる。でも、要には、いやお前はもういい、ってそっぽ向かれてしまったからじゃあいいや、ってなったのはその耳が少し赤かったからなんだけど、それは内緒にしておこう。

竹刀を握る悠太も久しぶりに見た。冬樹の彼女を見にきたはずの武道場も、指導がてら剣道をする悠太に目が向く。一回だけ、祐希と試合を見に行ったことがあったけど、春も悠太も格好良かったのを覚えている。
竹刀が防具を捉える音、掛け声、武道場のこもったようなこの匂いも、私は嫌いじゃない。なんとなく懐かしさを全身で感じながら眠くなってきて、まぶたを閉じた。




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