結局おやつの時間もお姉ちゃんのとなりー!とかで離してくれない。何人かの子たちにも言われたけど、ごめん、お姉ちゃんの隣、2つしかないんだよ。さらに午後は外で遊ぶときた。もう午前で体力を使い果たした私たちは既にぐったり。
「お姉ちゃん!そといこー」
「…ごめんね、先に行っててくれる?」
それはまた一人でいるあの子を見つけたから。一緒にいくー!と駄々こねてた子も悠太が外に連れていってくれた。
「外で遊ばない?」
「…いい」
「どうして?」
「なんていえばいいか、わかんない」
ちょっとずつ話してみると、最近引っ越してきたらしい。だから、どうやって一緒に遊べばいいかわかんない、とぬいぐるみに顔を埋める。
"いれて"この一言が言えない。足りないのは少しだけの勇気。
「じゃあ、一緒に行こ」
「でも…」
まだ不安そうな女の子に、なにか出来ないかと思って、一緒に髪の毛を三つ編みに編み込んであげる。おまじない、そう言うと嬉しそうに笑うその手をとって、ちょうどかごめかごめをしている悠太たちに近づく。後ろでエプロンの裾を握りしめているその子を前に出し、背中をぽんぽんと叩く。きっと大丈夫。
「、えっと…」
「わあ!かわいい!どうしたのそれー!」
「え、あの、お姉ちゃんと一緒にやって…」
「わたしにもおしえてー!」
わたしもわたしも!と周りに女の子が集まってくる。恥ずかしそうに、でも嬉しそうに。
「……うん!じゃあ、一緒にあそぼっ」
「うん!」
手を引かれて走るその背中はさっきより少しだけ、大きく見えた。お姉ちゃんー!と呼ばれ、私も後を追いかける。
少しだけの勇気、でもその言葉はしっかり届いたみたいだ。
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