文化祭も終わって一人、私は屋上から校庭を見下ろす。にぎやかな向こう側と違ってなんてここは静かなんだろう。とても同じ世界とは思えないほどの静寂に包まれていた。…みんなは、どこで何してるっけ。


(「一年の時から、○○さんのこと……」)


そう告げられた数分前。文化祭の後夜祭、屋上でなんてベタベタなシチュエーションの中、まさかとは思ったけど予想通りのすぎる言葉が出てきて、心の中で少し笑った。消しゴムを拾って貰ったとか、ノートを見せて貰ったとか、申し訳ないけど覚えてない。私にとっては当たり前のような何気ない行動も、彼にとってはきっと、大切な思い出として彼の中にあったのだろう。そして、今日のこの時も、今見下ろしている誰かの思い出となっていく。


花の17歳とは良く言ったものだ。たくさん遊んで、笑って、喧嘩して、また笑って、時には泣いて、恋もして。あの頃は良かったね、なんて。
そんな中で私の高校生活は何が残るだろう。あるいは残せるのだろう。ふと、そんなことを考えた。何年か経って、この高校生活を思い出し、誰かと語り合える日がくるのだろうか。
そんなことを考えてたら、頭の中がぐるぐるしてきて。フェンス一枚隔てた先はまるで別世界。はしゃぐ声や笑い声がまるで入らず通り抜けていく。ああ、私ほんと何をしているんだろう。



ただ、飛び散る火の粉や、ふわりと飛んでは闇の中へと消えゆく灰を見ては、ほんの少しだけ、なんだか泣きたくなった。




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