要を無事に見つけたはいいものの、着替える暇もなくそのままの格好で茉咲の劇に直行。そう、赤ずきんの春に白雪姫な悠太、花子な千鶴、鬼太郎の祐希と、帽子屋の私。まともなのが一人もいない。…いや、要がいた。とにかく、どこにいても目立つメンバーだ。これ、所謂迷惑というんじゃないのかなぁ、なんて。


「しょうがねーから、棗行ってこいよ」

「いや、私今マッドハッターだから」

「そこまで役になりきるなよ!」


今はそれどころではないのは分かってた。私たちが立ち尽くす女子トイレの中には茉咲が立て込もっている。正当な判断で行くなら、女子である私が行けばいいんだけど、それだと、なんというか、面白くない。


「千鶴、行ってきなよ」

「え、なんでオレ!?」

「花子さんじゃん」


しかし、入っていくのが千鶴のいいところ。しばらくすると、茉咲が出てきた、泣いたような後は見えるけどもう、大丈夫そうだった。春と話すその横顔は、なんだか晴れやかにも見える。後ろの方で怒られてる千鶴に、心の中で小さく合掌した。


「悠太くん、棗ちゃん、せっかくだから写真撮りませんか?」


片付けの最中、そんな春の誘いから三人で写真撮ることに。まぁ、せっかくだし。


「あ、私も一緒に撮ってもらいたい!」


私も私も、と、昼間撮れなかった人たちにあっという間に囲まれて、また写真撮影会が始まった。これじゃぁ、片付けは後回しだな、と思いながらも携帯に納められた春と悠太との写真を見ながら、なんだかくすぐったい気持ちになった。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -