「きゃー!○○さん、格好良い!!」

「ほんと、これだけ着こなしてくれたら本望だわ…」



文化祭2日目。私や悠太、春は午後担当で一緒。だけど、二人ともやっぱり似合いすぎていて、さっきから女の子に囲まれてばかりだ。そういう私も写真をせがまれたりして、なかなか離してくれなかったりする。接客は嫌いではないけど、こういうのは苦手というか、…やりづらい。やっとのことで茉咲のところに行くと、いつの間にか祐希たちも来ていた。


「えっ!なっちゃん!?」

「棗かっこいー、それなんの格好?」

「帽子屋さんですよ、アリスに出てくる」


そう、私が着てる衣装はマッドハッター。髪は高い位置で一つに結び、ピンで止められるようになっている帽子にはちゃんと10/6の札や、燕尾服に蝶ネクタイと結構凝った仕上がりになっている。…衣装係はどんだけ頑張ったのだろう。


「すごく人気なんですよ、棗ちゃん」

「まぁ、実際千鶴どころか、ヘタな男子よりも格好良くなっちゃったからね」

「うっわー、ゆうたんひっど!」


…格好良いかどうかは自分でも分からないし、女の子にきゃーきゃー言われても、なんか。こういうときはどんな反応をしたら正解なのか良く分からない。上手く、出来ない。みんなを見ながらそんなことを考えてたら、もう交代の時間になっていたようだ。


「棗、これから要んとこ行くって」

「え、このまま?」


結局、悠太に手を引かれながらみんなと要を探すことになったのだけれど…周りの視線が自分達に向けられているのだけは少しだけ、恥ずかしかった。




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