「………!!!っでたーーーっっ!!!」
なんてベタな展開。しかもみんな逃げちゃったし。完全に出遅れたよ、私。とりあえず追いかけようて一歩踏み出そうとしてなんか踏んだ。拾い上げてみると短冊。好きな人と――ってああ、茉咲のか。
「そ、それ、オレんだ!」
え、と振り向いたら小学生くらいの男の子が出てきた。全然幽霊なんかじゃ、ない。短冊を乱暴に奪い取ると走り出す男の子、をなんとかして追いかける。
「悪霊たいさーーん!!!」
いつ戻ってきたのかもう既にみんないて。なんかすごいことになってるけど、その子、普通の男の子だからね。
「なんだかいろいろ言われちゃってますけど…正解はどうなの?」
笹を探しに来たという男の子は、林さんっていうクラスメートの手術祈願の短冊をつるしたいみたいで。顔を赤くして…ってこれじゃぁ昼間にはつるせない。
「くっだんね
このたんざくはお前が直接その子に渡せ
その方がよっぽど力になる」
笹につるしたってそこで終わりだろ――
「要ってたまに良いこと言うよね」
「んだよ、たまにって」
帰り道、珍しく要くんに送ってもらってます。(祐希が見たいTVあるんだってさ)
「要はさ、何お願いした?」
「あ?何が」
「七夕。たんざく、書いたんでしょ」
「書いてねえよ、んなもん」
なんだ、書いてないのか。てっきりお母さんの関係を…と思ったけど怒られるから止めておこう。
「お前は?」
「ん?」
「棗だったら、何お願いすんだよ」
「……人に言ったら叶わないんだよ」
だったらオレにも聞くなよ!と頭をこずかれる。空を見上げると、星が綺麗に光っていた。明日もきっと晴れるだろう。
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