「ハワイ6日間の旅プレゼント」?

見せてきたのは雑誌の懸賞。夢膨らむこの話水を差すような会話と絵の数々。確かにペア1組じゃあたとえ当たったとしても一緒に行く相手なんて私にだっていないよ。やっぱりどこか旅行に行くならある程度の人数で楽しくしたいな、と私は思う。そう、たとえば、



「ボクたちにはまだ修学旅行があるじゃないですか」



そう、そろそろ修学旅行の時期だ。例年、というか毎年恒例は京都。それなのに韓国、中国、エジプト、ヨーロッパ…夢が広がります。


「なっちゃんはどこに行きたい?!」

「え、うーん…私は、京都でも十分嬉しいよ」

「えぇー!日本なんてだって、いつでも行けるじゃん!ここはパーっといこうよ!」


そうは言ってもねえ、今の私には海外はちょっと怖すぎるよ。なにが、ってわけでもないんだけど。それでもまだまだ行っていない、見ていない日本の景色を見てみたい。だから、京都行けるのはちょっと楽しみだったりする。


「そういう千鶴は?ドイツいた頃の記憶とかまだあるんじゃないの」

「ああっ!」

「お前日本とドイツのハーフじゃねえか!!」


乗せられるがままだとしても流暢なドイツ語を披露する千鶴は、一見はイケメン風。それも一瞬にして要に殴られるのを見るとああ、やっぱり千鶴だ。もうちょっとそういうことを出していけばいいのに。今後その特技が何に活かされるかは分からないけど。


「あっ 東先生」


みんな修学旅行京都だもんねえ、ってあ、言っちゃった。というかやっぱり、最初から京都だって要とも言ってたけど、やっぱり。がっかりしてるような、残念がっているようなみんなだけど、行き先が京都って言われてなくても、海外じゃなくても、私の夢は広がる。みんなと行ける修学旅行、どこだって楽しみだ。






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