昼休み、図書委員として書庫整理を手伝って半分を過ごしてしまった。昼当番は人によっては来たり来なかったり。よく呼び出しの放送が流れるのを聞いては大変だなぁ、と他人事のように考える。今日は当番ではないけど、たまたま通りかかったら頼まれてしまったものだから断れない。どうせいつも通り屋上で過ごすだけなのだから、私にとってはなんでもないことだ。
少し前に届いてたメールの差出人は千鶴で、なんか、猫の写真が添付されている。みんなと一緒じゃないのかという疑問はさておき、この模様が二人と似ているかどうかは疑問を抱かないわけにはいかない。
にしてもいい天気だなぁ、春の陽気で暖かくて気持ちがいい。眠くなる、って言ったら要にいつも眠いだろ、と突っ込まれそうだ。そんなことを考えながらふと見た外に、見覚えのある派手な金髪が視界に映る。


「…千鶴?」

「ん〜?あ、なっちゃん!」

「屋上行ってたんじゃなかったの」

「行こうと思ってたんだけどね!東先生にこれ貰ったから食べてから行こうかと!」


そういって見せてくれたのは購買で売ってるあんぱん。食べる?って聞かれたけど私はもうお弁当でお腹いっぱい。


「そえばさっき高橋さんに会ってさ、ゆうたんの!オレ初会話しちゃった!」

「…へえ」

「もうなっちゃん反応薄いなー。そこは何話したのって聞くでしょ!」

「じゃあ、何話したの」

「え?話してないよ、会釈だけ」


じゃあ、なぜ聞いた。と大きく突っ込めないのがなんだかもどかしい。しかも会釈ってなに、どんな状況で千鶴と会釈なんてシュールな光景が出来るんだ、と突っ込めないのももどかしい。元気だなぁと隣を小さく見ながらとりあえずふーん、と軽く流してしまった。


「…ん、ゆっきーだ」


しばらく携帯を見てた千鶴が大きく声をあげて、勢いよく立ち上がるから少し引いてしまった。今度はなんだ。


「ちょっ、なっちゃんなにこれ!オレら出し抜かれたよ!」


千鶴が見せてくれた写真はみんながカップケーキを食べてるのだった。見せつけるようにピースまでしてる祐希もいる。

「春が作ってきたやつだよ。私、さっき教室でもらった」

「えっ!そうなの?!くっそーっオレだけ出し抜かれたー!」


なっちゃんも早く屋上行かなきゃ!と走り去った千鶴。だから申し訳ないけど私は食べたんだけど、と思いながら既に遠くにいつつある黄色い頭を追いかけた。





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