お風呂に入りさっぱりした気持ちになりながら二階に上がる。さっきよりは五月蝿くないようだけど、今は何してるのかなぁ、とドアを開けると部屋の中は一瞬誰もいないかと思った。すぐにベランダにいるのが見えて、何やってるのかなって覗くと懐かしいものが真ん中に。


「懐かしいの引っ張り出したね」

「おー、棗」

「棗ちゃん、おかえりなさい!」

「ただいま」


ずっと前に要の家にやっぱりみんなで泊まった時にした天体観測。まだあったんだ、これ。見えそう?と聞いてももう古いから見えねえかもな、と要は調整しながら答える。
お風呂も入ってだいぶ眠い。あくびをひとつして敷かれた布団に座る。こうやってまた、今度は千鶴も加わってまた泊まりにくることがあるなんてな、と思うと何故かどこか感慨深い。夜もだいぶ深くなってきたのに寝る気配もない。


「お前いくら兄ちゃんが好きでもそれはちょっとちがうだろう!!?」

「悲しみをのりこえてください!!のりこえて祐希くんは悠太くんの分まで幸せにーーー!!」


どこまでも想像力が豊かな二人に溜め息と笑いが交じる。だいたい、なんか…縁起でもないというか。


「……なに?」

「いや、…髪、乾かしたかなと思って」

「乾いてるよ、ドライヤー使ったし………というかもう出たの結構前だけど、」


悠太の大きな手が頭を包む。指先から感じる温もりに若干の心地よさを感じてまたあくびを一つ。
ようやくもう寝るぞ、と声をかけたのはもう12時30分を回った頃だった。





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