やっぱり身長を伸ばすというのは長い目で見ることが大事だと思うんだよね。長い目。だから要の言う通り当日にどう足掻いたってダメだとは思うんだよね。って言っても多分聞く耳持たないだろうなぁ。


「実は人間は寝ている時が一番身長が高いのです、だと」

「なに!?まさになっちゃんじゃん!昼休みも授業中も寝ちゃってるなっちゃんのことじゃん!」

「ちょっと、私そんなに寝てないよ」

「いや、寝てるだろ…」


そう、だっけ。いやまあ昼休みは寝てる。だいたい、ほとんど。授業中、は……寝ないようには頑張ってる。どーしても、って時は目を閉じてるだけで寝てない。うん。でも寝る子は育つっていうのはあながち間違ってないかもしれない。祐希も休みの日とかはマンガ読んでるか寝てるかだし。じゃあ千鶴もたくさん寝ればいいと思う。うん、今じゃなくて。


「……で、なにこれ」

「あっ、ボクこれ見たことあります。もーすっごいさわやかな青春映画なんですよ〜」

「………」


誰だっけ見ようと言い出したのは、と聞くまでもなくそれは千鶴だった、とすぐに出てきた。教卓の上で始まる寸劇も要が加わるとただのコントにしか見えない。というか、教卓に乗らないの。


「…ふあ、」

「棗、眠いの?」

「うーん、…」

「じゃあもう早く身体測定終わらせ、」

「ゆうたん!クライマックス音ボリュームあげてたも!」

「えー?ボリューム?」


その瞬間、感じてた眠気は一気に吹き飛ぶ。急いでコンピューター室を出て、何が起こったかあまり理解出来ないまま、気付いたらいつもの屋上。ああ、耳が、痛い。
こんなのんびりしていて、今が一応授業中ということを忘れちゃう。要の自家用ヘリとか、春の歌のお姉さんに祐希の営業とか。将来なんて、みんな何やってるのかな。そんな会話を聞きながら、屋上に吹く風と共に去った眠気がまたやってくる。


「あ、棗寝に入ってる」

「は?!まて、お前寝るな!身体測定まだ残ってっぞ」

「よしじゃあ、千鶴くんの身体測定からいきますか」

「え〜〜〜もういいよ身長は〜〜」


多分、今また身長測り直したら。今なら、千鶴より私の方が高い、かもしれない。






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