今日は朝から卒業式。私たち下級生はそれと同時に春休みに入ることになる。どことなく緊張感が流れ、三年生も今日ばかりはと制服も整えてるようにみえる。この穂稀高校に入学してから二回目となる卒業式。来年はとうとう自分たちの番になるのか、と思いながらあくびを咬み殺す。
あんだけ慣れないからかみそうだ、と言っていた送辞も冷静になんなくこなす幼馴染みは流石だった。きっと家でも練習したんだろう、とか意外に努力家だし、とか言っちゃうと多分軽く殴られる、だろうなぁ。


「……ふあ、」

「でっかいあくび」

「祐希、部活のは」

「…特にはない」


式も無事に終わり、たくさんの花束が彩る校舎前。卒業生の出待ちだ。悠太たちも茶道部で、要も生徒会でとそれぞれの場所へと行ってしまって私は手持ちぶさた。
ちらほらと卒業生が出てきて賑わい始める。泣いたり泣かれたり笑ったり写真撮ったり…。ぼーっと見つめる私は完全にアウェーで、来年、かぁ。
もう眠いし、帰ろうかな…。


「おーい!ゆっきー!なっちゃんー!」


呼ばれた声に顔を上げると千鶴。あ、となりに茉咲もいる。というか、声、大きすぎ。適当にひらひらと手を振るも、となりの祐希が完全に無視してる。千鶴がさらにうるさいから何か反応してあげて。
止まらないあくびと消えない眠気は春の訪れを知らせるか否か。


「…帰ろうかな」

「棗が帰るならオレも」


うーん、と伸びをして。微かに香る風は確かに春を感じる風だった。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -