上を向くと青い空と白い雲。高いなぁと思いながら息を思いっきり吸って冷たい空気を味わう。ふーっと細く吐きながら呼吸を整えて、まだまだ先の長い道のりに目を向けた。
今日はマラソン大会。周りを気にすることもなく、景色でも見ながら。なんてのんびりした時間。男女で走る距離が違い、私はみんなより一足早くスタートした。速くもなく、遅くもなく、友達と走ってる人もいれば、歩いてる子、頑張ってる子…午後一杯がマラソンで埋まるのならそれもいい。
走りながらもそんな周りを見ていると、前の方に見知った小さな背中が目に入ってきて。近くまで来てみて、ああやっぱり。
「茉咲?」
「っ、棗ちゃんっ」
はあはあ息を弾ませながら走る茉咲を見つけて、少しスピードを落として、どうしようかと思いながらも少し隣につける。
「はあっ、棗ちゃん、速いね」
「…そうかな」
「うんっ。私たちの方がスタート速かったのに」
そうか、学年によっても距離が違うから私は一年生に追い付いちゃったわけなのか。よく見れば確かに周りは自分の学年とは異なる色の体操服の子達が多いように見えた。
「…大丈夫?」
「う、うん。ちょっと苦しいかも、」
お腹に手を当てながら顔はやっぱり苦しそう。自然と足は走るのをやめて、ゆっくり歩くに変わっていく。止まると一気に足の疲れがやってきて、重い。ああ、もう、明日絶対筋肉痛。ごめんね、先行っていいよ、という茉咲に私も疲れたから、と二人でのんびり土手を歩く。呼吸も整い、風も心なしか心地良い。
「よしっ!あと少しなら行けそうっ」
「うん、あとちょっと頑張ろう」
結局ほとんど歩きで終わっちゃったようだけど、最後はジョギング程度のスピードで二人でゴールした。速い人は男子の先輩などはゴールしてる人もいるみたいで、私たち結構後ろだったね、ビリじゃなくて良かったねと笑い合った。
「え、千鶴ビリじゃん」
春と悠太、要と祐希たちがゴールしてから千鶴がやっと到着したのはそれから暫くしてからだった。
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