なみだがきらめく。

 


無機物は所詮無機物で
決して有機物にはなれないのだと
僕は頑なに信じていた。


…彼に逢うまでは、













『初めまして、
小さな新しいマスター。
僕の名前は征十郎。
赤司征十郎だ。』








僕の大っ嫌いなアンドロイド。
そんな彼が家に来たのは
一族の中で異端だった僕を、
ただ一人優しく
抱き締めてくれた祖母の遺言に
“赤司”というアンドロイドを
引き取ってくれと書かれていた
からというだけだった。

最初は起動する気もなかったが
収納しようとすると
アンドロイドというものは
大層場所を取る事が判明し、
世間一般的には
広い僕の屋敷でも
邪魔なものは邪魔なわけで。






『さつきは死んだのか。
…殺しても死なないと思ってたのは
やっぱりこの身体を持つ
アンドロイドとしての驕り
だったのかな…、』





仕方なしに祖母の葬儀の後、
屋敷に持ち帰って起動させると
“赤司”はそう言って
目を伏せた。
その横顔は、
まるで大切な人を亡くした
かのように寂しさを滲ませていて。

そんな彼を見ていた僕は
いつの間にか泣いていた。
大きな声で。
恥ずかしげもなく。

泣いて
泣いて
泣いて。

声を嗄すまで泣いて。

気が付いた。


僕は祖母が大好きだった事。
祖母が死んで本当は
凄く凄く悲しかった事。
祖母が死んで、
とうとう一人ぼっちになって
しまった事が怖かった。



言葉にならない不安が身体中を
巡り泣き続ける僕を“赤司”は
優しく抱き締めてくれた。



まるで祖母のように。





(今なら何と無く解る気がする…。)(祖母が彼を僕に遺してくれた理由。)








拒絶するばかりが
世界ではない。





 








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