無自覚恋愛感情

女の子の日の話。
無理な方はリターン。
これを読まなくても最終話読めます。









思えば今朝から
お腹に違和感があった。
無駄に眠かったし
無駄に食欲があった。



(まさか、こんなことになるとは…)



いつも通りにバスケ部の練習が
終わって、帰りにストバスに
寄ったら
僕にか洛山バスケ部にか
解らないけれど恨みを持った
数人に囲まれた。

雑魚過ぎて造作も無く
倒してしまったが、
急に下腹部が痛み
太腿に自分の意と反して伝う、赫いものが見てとれた。


女には月に一度、必ず訪れるものである。


(…煩わしい)


そう思いつつも、
どうにかしなければ
ならないのだからと
眉間に皺を寄せてしまうのを
止められないまま、
セーラー服の汚れを払い
その場を後にしようとした、
その時。




「赤司!」



タイミング良く
(この場合は悪いのか…?)
現れたのは、
己をよく補導する
青峰大輝だった。



「………。」



逃げ出せば
必ず追ってくることが
目に見えているので、
溜息を一つ吐くだけに留める。
実際、生理が来たと
知ってしまってから
身体の倦怠感が凄まじく、
逃げるのも億劫だったから。



「あれ程喧嘩すんな…って、
い…って…?」



駆け寄って諭すように
説教を始めようとしていた
大輝の言葉が、
途切れ途切れになった事を
不思議に思っていると、
大輝は急に凄い剣幕で
僕の肩を掴んだ。



「せ…っ征華!手前こいつらに
何された?!」

「は?」

「だっ…だって…手前、
…ち、ちち…っつ」

「何が云いたいの、大輝は。」



多少苛つきを覚えながら問うと
大輝は真っ赤になりながら
意を決したように僕の太腿を
指差した。



「…っ、血が、出てる!」



(嗚呼、忘れてた。)


思い出してしまうと、
太腿に伝う少し乾いた赫に
不快感が増す。
でもそんなことよりも、
切羽詰まった表情を浮かべる
大輝に笑いが込み上げてくる。



「別に怪我をしたわけじゃない」

「そんな嘘…っ」

「女が月に一度くるやっだ。」



一瞬のフリーズ

そして瞬く間に赤面。



自分より長く生きているくせに、
どうやらかなりの初らしい。
大輝は暫く口をパクパクと
開け閉めし、
何も言えないでいたが、
いきなり着ていた上着を
僕に羽織らせて
“此処で待ってろ。”とだけ云い、
走り去っていった。





少しして、
息を切らしながら
帰って来た大輝に、
紙袋を手渡される。



「何だい、コレ?」



尋ねてみたが答えはない。
しかも何故か
抱き上げられてしまった。



「ちょ…っ」

「暴れんな。」

「………」



抱き上げられて
連れて行かれた先はお手洗い。

中に押し込まれたので、
手渡されていたものを開けてみると
その中に入っていたのは
真新しいショーツと
サニタリー用品で。


彼はどんな顔でコレを
買って来たのだろうか。
などと考えてやめた。




(でも今日は、御礼くらいは云おうか。)






「ねぇ大輝、どんな顔して
コレ買って来たの?
しかも必要物品全部揃ってたし…。
もしかして女性の店員さんに
聞いたりしたのかい?
うわー…もうそれ
立派なセクハラだよ」
「…っ黙りやがれ!」
「嘘、嘘。ありがと大輝。
助かった。」
「……。」





 


 






 








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -