完結する物語。

 
読む人にとっては不快かも
しれません。
ダメだな〜と思ったら
引き返して下さい。








世界が歪む感覚。
街を歩けば道行く人に
指を差され笑われ、
聞きたくもない声が頭に響く。





『人間であるはずがない』

『可哀相な魔物。』

『愚かだ』

『…醜い』

『敗者の癖に』



『 死 ン デ シ マ エ 』





これ以上聞きたくなくて、
急いで家に戻る。
そこには唯一僕を愛してくれる
テツヤがいるから。



「お帰りなさい、征君。」



笑顔で迎えてくれるテツヤ。
嗚呼、何てイトオシイ。



「てつ…や、テツヤ…」



腕を伸ばして縋り付くように
抱き締める。
テツヤは優しく抱き返してくれた。



安心、
安堵、
安楽。



僕に敗北を与えたテツヤだけは
僕の味方、だと思ってたのに…。



「そういえば征君、
今日分の薬を飲み忘れましたね。」
今準備するから待ってて下さい。

と、立ち上がって薬を取り出すテツヤ。










  -キミモ、ボクヲ…。-










「てつ、やまで…」

「何ですか?」

「てつやまでぼくをころしたいのか…!」

「征君…っ」










気が付くと傷だらけのテツヤの
か細い首を容赦ない力で
締め上げていた。



「…ぁああ…、…てつ…ごめ、
なさ……」



首から手をどけ、
テツヤを抱き締める。
テツヤは少し咳込んだ後、
ゆっくりと僕を
抱き締め返してくれた。
先程と変わらぬ優しさで…。



「てつ、や…ごめんなさ…っ」



ボロボロと涙が零れ落ちて
テツヤの頬を伝っていく。



「…大丈夫、ですよ。
僕は平気…ですから、」



僕の涙をゆっくり拭いながら
微笑むテツヤは儚くて、
今にも消えてしまいそうで。



「ごめんなさい…っ、
テツヤが僕を殺そうとする筈
なんてないのに…、
僕はそれを痛い程知っている
筈なのに…っ」

「…うん。有難うございます、
征君。僕も悪かったんです
…不用意に“薬”だなんて言って…。」

「てつや…」

「大丈夫です、僕がいるから。
…一緒に病気と闘いましょう?」

「テツヤ…っ、」




優しい、優しい人だから。
壊れやすくて、請われやすくて…。
受け止めて、受容して。
そんな彼だから好きになった。


彼は気が付かない。
ゆっくりと真綿で包むように
僕が君を壊そうとしている事を

いつか、何もかも奪われて
僕に殺されてしまう事を。




だから
 その前に、
    どうか。





僕を殺して下さい。








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一応赤司さんはは統合失調症を
イメージにしてますが、
かなりフィクションですので
鵜呑みにはしないで下さいませ。
黒子も病んでますね。




 








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