泡沫ラプソディ。


 

その日は偶々学校に残っていて、
偶々5月にしては
とても暑い日だった。

部活でいつものように汗をかいていたし、
普段より厳しくしたせいか
中々汗が引かない。
余りの暑さに珍しく
皆バテそうになっていた午後6時。

だからだろうか。



「ねぇ真太郎、折角だから
プールにでも入らないか?」



こんな馬鹿を言う気になったのは。



夕方というか夜のプール二人で忍び込む。

彼は眼鏡を外して
上に着ていた衣類だけを脱ぎ、
プールに飛び込んだ。
(僕もそれに倣って
上に着ている物を脱ぐ。)



「早く来ると良いのだよ」



急かすように云う彼が
普段より幾分子供っぽくて、
思わず口元が緩む。
僕はプールサイドに腰掛けた。
足の指で水面を弾く。
(確かに冷たくて、気持ち良い。)

ふと彼を見ると、
調度濡れた髪を掻き上げているところで、
一瞬ドキリとした。

中々来ない僕に焦れたのか、
彼は僕へと歩を進める。
(金縛りにあったみたいに動けない。)


彼は僕の正面にまでやってきて、
両腕を僕の身体の横に置いて
僕の逃げ場をなくす。
上目使いで意地悪く微笑んで、

「見惚れてたのか?」

業と低く囁き、耳に吹き込む。
(嗚呼 もう逃げられない。)



彼の唇が、僕のそれに触れる。
(久々のキスは塩素の味がした。)



やっぱり僕は、
    君が好き。







ラプソディ







 








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