10月9日

 

10月9日。
一年に一度の…最悪な、日。



朝練の時間に起床して
部屋を出て部室に向かえば
体育館の至る所から
響く祝いの言葉。


苛立つ精神を抑え無表情を保つ。
(祝われたいのは一人なのに)


飛び交う祝いと御礼の言葉に
逃げ出したい気持ちで
部活を始める。
皆がくれたお菓子だけは
大切に食べようと思う。
食べ物を粗末にしちゃいけないって
昔、言われたしー。



部活が終わって
ホッと一息つけると思って
自分の席に落ち着くと
机の上には可愛い装飾のされた
お菓子達に沢山埋めつくされていた。

勘弁して欲しいなー。










夕刻、部活が終わり
部室を出ると
待ち構えていた皆に
拉致られるようにして
パーティーやるぞ!と
カラオケへ連れて行かれる。
嗚呼、面倒くさい。



渋々ながら参加した
パーティーはやはり
祝いの言葉に塗れていて
不快だった。

結局最後まで付き合わされ
自室へ戻る。
しかしそこには
彼の姿はある筈がなく、
今日という日を呪う。
彼に連絡を取るために
制服の胸ポケットに
入れていた携帯を開くと
一件の留守番電話が入っていた。



『ー……       。』



暫く続く無言の後に一言だけ。
彼らしくない
蚊の鳴くような小さな声で
紡がれた言葉に、
いてもたっても
いられなくなって走り出す。



残り数時間の今日。
まだ、まだ終わるな。



直接、彼から告げられるまでは。





素直じゃない彼の
祝福の言葉。
(電話越しじゃ勿体ないじゃない?)








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ムッ君は赤司にさえ
祝って貰えれば良くて←
他の人から祝われても
心動かず。(笑)


 








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