華鬼

※大奥パロ
にょた→征華
黒→赤→紫






「、あの姫は…?」

「あれは赤司家の征華姫でございます。
上様。」





桜の舞う季節に、
僕は彼女を知った。







宵闇の中に
儚く散る。






「僕が入内?
何馬鹿な事言ってるのさ。
僕には許婚もいるのに」

「上様からの勅命なのだぞ!」

勅命を受けて浮かれ立っている
父親に苛立つ。
よく知りもしない人間なんかに
誰が嫁げるものか!



「…あいつは、何処」

「中庭でお前を待ってる。」



先程までの嫌味な程
爽やかな笑顔をさっと引き締め、
そう告げる父親は
いつもと違う雰囲気を
身に纏っていた。
別れを告げてこいと言う意味だろう。

だけど。



「僕は絶対、上様なんかに
嫁がないからね。」










中庭に出て、彼を捜す。

彼は桜を見上げていた。



「…、敦」

「赤ちん。」



にこやかに微笑む彼に、
ホッと胸を撫で下ろす。
いくら傍若無人な僕でも、
上様の勅命に逆らえないことを
本当は知っているからだろうか。
身体がいつの間にか
強張っていたらしい。
そんな僕に気付いてか、
敦は優しく両頬を包み込んでくれた。



「…あつ、し」

「俺に力がないばっかりに…。
赤ちんを…っ」

「敦…」

「赤ちんを、
手放したくなんて、ないのに…!」



抱きしめられた部分から伝わる熱が
熱すぎて痛い。
このまま、
この熱に焼かれて
死んでしまえたら楽なのに。



(実際には有り得ないけど。)



「ねぇ敦。君を生かすのは僕だし、僕を生かすのも君なんだよ。」

「赤…」

「だから、」



待っていて。




どんなに時間が掛かっても。
現世ではもう逢えなくても。
来世には、必ず逢いに行くから…。









「征華姫が到着したぞ。」
良かったなぁ?

と下世話な笑みを浮かべる
家臣の青峰君を一瞥して立ち上がる。



「必ず僕のものにします」




(初恋、ですから。)






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この後は黒赤←紫になる予定だったりしますが、
需要がなさそうなので割愛。
あったら書くかもです。






 








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