愛の賛歌。

 
先程まで確かめ合っていた
熱を下げる為に、
乳白色の温めなお湯へ
二人で浸かった。





「風邪引いちゃうよー」

「ん…わかって、る…」



そう言いつつも、
赤ちんは全体重を自分へと預けて
再びまどろみの中に堕ちていく。

俺の前だけでみせる、
歳相応の態度は
まるで俺だけの猫なのだと、
勘違いしそうになってしまう。




このまま二人とも
とけて、混ざり合って
二度と離れなければ良いのに。



(絶対後悔するけど。)





だって、そんな事をしたら。

この綺麗な赤髪も、
決して光を失わない紅玉と琥珀の瞳も、
澄んだ声でさえ。



永久に。



みれなくなってしまうから。



後ろから抱き締めているせいで
惜し気もなく晒されている
猫の白い項に。
蝶が華に引き寄せられるように
(実際は、そんなキレイなものではないけれど。
実際は醜い独占欲からくる、
動物的な衝動)
口付けて、紅い華を咲かせた。




「ねぇ、赤ちん。」

「、ん…?」

「好き、だよ。」

「…ぼく、も。」




より凭てきた猫は、
そう言うと俺の頬にキスを一つ。

そんな可愛らしい猫の唇に
啄むようなキスを何度も贈る。



猫は嬉しそうに笑った。













何度 愛を囁いても、

憶いを言葉に変えても。



伝えられない。

伝えきれない。





薄汚れた俺だけど

赤ちんだけには

優しく口付けるから。



どうか、

気まぐれなにゃんこ。


俺の為だけに
愛を鳴いて。





愛の賛歌。

(       )














****
気持ち的には
気まぐれな尻尾と同設定。



 








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