放課後overflow

赤司と黒子が♀で双子
赤司→征華 黒子→テツナ
描写はないが性的虐待表現あり







 


『一緒に来るか…?』



僕達にそう言った
彼の手を取って、
早くも七年が経とうとしているー…。

















「テツナ、遅刻するよ。」

朝食を作り、テツナを起こして
朝ごはんを二人または三人で
摂るのが日課。

常は二人で摂るのだが、
今日は珍しく起きて来た
家の主が居て三人で摂る。



「相変わらず朝に弱いんだな、
テツナ」

「…火神さん煩いですよ。」



僕からしてみれば
二人とも寝汚いのだけれど。
今そんな事を言えば
二人から長々と抗議を
受ける嵌めになるので黙っている。


僕とテツナは双子で
同じ養護施設で育った。
原因は母親の発狂
及び親戚累々に見捨てられたこと。

その施設は評判が悪いことで有名で、
事実評判より酷かった。

身体的、精神的虐待。
はたまた性的虐待まで日常的で。
火神に引き取られるまでは、
己が人間であるという意識すら
皆無だった。



「テツナ、学校に遅れるぞ。」



火神がそう言うと
テツナは無言で立ち上がり
肌寒くなって来た為、
セーラー服の上からカーディガンを羽織る。



「いってらっしゃい、テツナ。」

「…行ってきます。」



仲の良い双子だったのだけれど
テツナが高校へ進学し、
僕が火神が経営する喫茶店に
就職を決めた頃から
少し関係がギクシャクしてしまった。



(反抗期、かな)



何て思いつつ普段通りに接する。
結局僕には彼女が必要で、
彼女にも僕が必要なのだから。


玄関までテツナを見送って
リビングに戻ると
火神は朝食を摂り終わり
新聞を読みながら珈琲を啜っていた。



「征華、今日フルで入れるか?」



就職先の喫茶店キセキの
オーナーである火神は、
たまに休日だった日に
シフト変更を言い渡してくる時がある。
まあ変に勤務変更されるよりは
断然良いし、
火神も調整しなくて良いから
楽なんだろうな。



「別に用事も入ってないから
大丈夫だけど…
今日、何かあったか?」



昨日の申し送りの時点では
何も言ってなかった事を
思い出しながら
火神に尋ねると
火神は苦虫を擦り潰して噛んだような。
形容しがたい表情を浮かべていた。



「今日からバイトが入るんだ。…使えねぇな。」



溜息と共に低く吐き出された
言葉に思わず目を見開く。

既に使えないと分かっているバイトを
何故雇うのか、かなり疑問だが
オーナーが決めたことには逆らえない。



(あれ?つまりその使えないバイトの世話係に
僕は任命されたのか…?)



ふと過ぎった思考に
僕は頭が痛くなるのを
押さえ切れなかった。






 








「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -