整備士の憂鬱「ったく、人使いが荒いんだからっ…なんでこうも演習する度に傷付けて帰ってくるのか分からないなぁ本当にもう…!」
カチャカチャ…ガコンッ…
「私だって暇じゃないのに!」
ーえ…と、ここがエラーの原因…か…
電気系統だから、あのツールね…
ミシェルの機体は他の整備士に任せて、私はアルトの機体の修理にとりかかる。
今回はガウォーク形態で修理なので、リフトに必要なものを詰め込みもう一度上へと向かう。
今回は外部衝撃による電気系統のエラーだけだったので、さっくりと修理は終わり一通りメンテナンス。
ーあぁ…ここの傷…お父さんの…。
常に、死と隣り合わせだからこそ…
今は亡きパイロットを忘れないようにと…全てのキズを修理しないんだよね。
「ナマエ!」
下から声が聞こえた。
アルトだ。
「んー?ちょっと待ってて!すぐ降りるから」
リフトの中で道具をまとめると、急いでアルトの元へ向かう。
「その…いつもごめんな」
「ほーんと!修理するこっちの身にもなってよねぇー」
わざと仁王立ちしてみせれば、しゅんとするアルトがうつった。
「悪い…」
「…でも、生きて帰ってきてくれればそれでいいよ。」
ーでもやっぱり、増える傷は憂鬱なんです。
(でも、次演習で傷増やしたら罰としてキス禁止週間入るから)
(ならそれまでの間に俺無しじゃ居られない身体にしなくちゃな)
(っや、やめ…!)
(お盛んですね)
(俺たちが居る事わすれるなよ、姫)
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