3もう!!
アルトなんて知らないんだから!!
イライラしながら携帯を取り出すと、アドレス帳からランカを呼びだす。
―…留守電…。
もう!知らない!!
私が向かった先は、フォルモ。
ゼントラーディーのショッピングモールだ。
「(…いた!!)クラン―!!」
名前を呼び手を振りながらエスカレーターから飛び下りれば、ぽふっとキャッチしてくれるゼントラサイズのクラン。
「ナマエじゃないか…!どうしたんだ??」
「クーラーンー…うぅー…」
「な、なんだ?どうした??」
そっと私を抱きかかえ、顔の前まで両手で持ち上げてくれたクラン。
「クラン、聞いてよ…アルトがね…」
「あいつか…。じゃあちょっと、場所を変えよう。ネネ、ララミア、悪いな。」
「いえ、お姉さま!いってらっしゃいませ!」
「構いません、ナマエさんとゆっくりお過ごしになって下さい。」
「ごめんね、二人とも…また今度、何かお礼するからね!」
「「いってきます」」
「で…どうしたんだ?」
「…うん…」
フォルモを歩きながら、会話する私たち。
私はといえば、クランの肩車…ならぬ肩に座らせてもらっている。
「…はぁっ…ナマエ、言わなきゃ分からないだろ?」
「ん…と…アルトが…シェリルと、ロッカーに入ってて…。」
「ナマエ…今すぐ別れるんだ。」
「…え…?」
「早いほうが傷も浅いぞ。」
「…ちょっと、クラン…お、落ちる!!私落ちる!!!」
いきなり早足になったクランに振り落とされそうになる。
すまない、といってまた肩に戻してくれたクラン。
こんな私に、みんな…優しい…。
なんて考えていたら、ふと、クランの足が止まる。
「何をしてる貴様!」
「クラン…大尉…」
「邪魔しないで!今良いフレーズが浮かんできたの!!」
「…!!!!」
ちらりと見れば、何か必死に書きとめてるシェリルと…そのそばにはアルト。
バッ!!っとクランの首に抱きつく。
…が、時既に遅し…。
「って、ナマエ?!」
「…ふんっ。私はいまクランとデート中なの!アルトにはシェリルがいるでしょ?」
「はぁ…お前たちは…いい加減に…」
むにっ!っとつかまれ、アルトの隣に下ろされそうになる。
「いーやーだー!クランー!いやぁー!!」
「子供じゃないんだから…ほれ。」
「きゃぁっ!!」
「うぉっ!!」
私がクランから離れないと分かると、アルトに向かって優しく放り投げられる。
アルトは反応が遅れ、私と一緒に地面とご対面。
「痛ったぁ…」
「ナマエ…大丈夫か…?」
「…っ、ごめ…!!」
アルトを押しつぶすように重なっていて、焦ってすぐに起き上がる。
とたん、グラリと視界が揺れる。
「…っ」
「あ、おい!!」
「ごめ、ふらついただけ、もう大丈夫。」
アルトの身体に、手を押し当て身体を離す。
ふわりと優しい暖かさに包まれる。
―アルトだ…。
「俺こそ、ごめん。ナマエに勘違いさせる原因を作っちまって…」
「…(思い出した)」
「…(はっ!)」
「おい、二人とも…あいつって変なやつだな。」
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