2「……なに…してるの…」
ロッカーから突如流れ出してきた、アルトとシェリル。
「ち、違うんだこれは!!これは、その!」
「そ、そうよナマエ!これは事故なの!」
「……違うって、何が?私まだ何も言ってないんだけど。」
「…っ…」
「私いくね、おじゃまみたいだから。」
くるりと踵を返す。
早くここからいなくなりたい。
「ちょ!待てよナマエ!!」
アルトに手首をつかまれる。
「やだ!触らないでっ…!!」
俺は…掴んだ手の力が抜けた。
振り返ったナマエの瞳に、うっすら涙が浮かんでたから。
「ナマエ…」
振り払われた俺の手は宙を切った。
少しだけ…。
屋上で肺に空気を入れる。
―すーっ…はぁー…。
アルトのロッカーから聞こえてきた、シェリルの…厭らしい声…。
私って、アルトの何なんだろうなぁ…。
汚い思考がぐるぐる回る。
…やめた。
早く皆のところにもどろ…。
あーあ…授業サボっちゃった…。
「おかえり、ナマエ。」
「遅かったですね、ナマエ先輩!」
「ただいまー!!さぼったった!!」
「ナマエちゃんは、ランカさんを探すの…手伝ってくれますか??」
ミシェルは、顔の横で手を掲げ呆れのポーズ。
ルカは…必死。あー…ナナセね…。
ナナセは、何としてでも!って感じか。
「あ、うん。ランカのお兄さんから連絡入ってて、見つけてくれって。だから探すの手伝うよ。」
「本当ですか?!ありがとうございます!一緒にランカさん見つけ出しましょうね!!」
「さすがです、ナマエせんぱぁい!」
「はぁ…」
「ミシェル、溜息つくと幸せ逃げるよ?」
「悪いけど俺パス!用事があるから…サボり姫でも使えばいいよ。」
そんなやり取りをしていたら、ルカが通話を始めた。
―…アルトの声がする。
「さっき、誰と居たんですか?」
『誰でもいいだろ?!』
ばっ!とルカの携帯を奪ったナマエ。
「…シェリルだよ、ルカ。」
「え?!ナマエ先輩??」
「…アルトの…アルトのバカ!!!」
―プチっ…
通話終了の一定音に焦りが募る…。
「やべぇ…」
俺の言葉を一切聞かずに切られた電話。
これは…本当にやばくなってしまった…。
「ちょ…どうしちゃったんですか?突然…らしくないです…」
「…ごめん、ルカとナナセ!私も用事思い出しちゃった、じゃ!!」
バッ!とカバンをつかみ取ると、笑顔で教室を飛び出してしまったナマエ。
じゃあ俺も―!と言い残し帰ってしまったミシェル。
「…ナマエちゃん…なんだかとても怖かったです…。」
「はい、本当にどうしちゃったんでしょう…?」
「ルカくんも、そう思うの?」
「…えぇ…。」
「ミシェルくんも行ってしまったし…こうなったら二人で必ずランカさんを見つけ出しましょう!!」
「…は、はいっ!!!」
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