2すっかり、夕暮れ。
稽古終わりはいつもこの時間。
「葎華先生、ありがとうございました。」
「いえ、お疲れ様ね。」
「葎華せーんせい」
「はい、何かしら美与ちゃん?」
生徒の居なくなった稽古場。
入り口に手をかけ、手招きする美与。
「とーっても可愛いわよ!ふふ//」
「…?」
美与は葎華と渡り廊下を行く。
たどり着いたのは離れ。
美与は微笑み、そーっとふすまを開ける。
部屋の中には、たくさん散らばった紙飛行機。
色とりどりの千代紙でできた飛行機は、二種類。
きれいに整った飛行機と
ちょっぴりイビツな飛行機
部屋の真ん中には、座布団を並べてその上に向かい合い寄り添う二人の子供。
すやすやと寝息をたてて眠っている。
「ふふ//アルトもナマエちゃんも可愛いでしょ?」
「うん、私たち親バカね…すっごく可愛い!//」
「親ばかでいいのよ、うちなんかは特に…。あの人はアルトに厳しすぎるから…。」
「嵐蔵さん、厳しいもんね。」
「愛はあるのよ、ちょっぴり不器用なだけで…。」
「…美与、あれはちょっぴりじゃないわよ…。とってもってい「おい、お前たち…。」」
「「しーっ!!」」
「す…すまない…。」
嵐蔵も、二人の母親の前ではたじたじになるのであった。
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