8―英雄たちに、敬礼!!
パン
パン
―彼は、勇敢な兵士だった
恐れず 怯まず
その命をとして
譲れるもののために戦い
力尽きた
だがこれは終わりではない
彼の肉体は
やがて我が肉となり
血となり
大気とっなって我らの命を燃やすだろう
だから今は眠れ わが友よ
さらばだ
また会おう
―敬礼
ギリアムさんとのお別れは、淑やかに行われた。
お父さんの乗っていたVF-25Fの後継パイロットだった。
『おう!ナマエ!今日もこいつぁ絶好調だぞ!』
『ナマエ!こっちこい!今日は特別に許可貰ったんだ。今から行くぞ!25Fで遊覧フライトだぜ!』
『俺は…ナマエのお父さんの気持ちも継いでるんだ、こいつの相棒としてな!』
あぁ…ギリアム…さん…っ…。
ありがとう。
ありがとう。
惜しむ気持ちを宇宙へ一緒に流して、扉を出る。
そこには、
「アルト…?」
―なんでここに…?
「民間軍事プロバイダーである俺たちの死は戦死ではない。事故死だ。
あそこに墓碑が立てられることもない。船団をあげての葬儀もない。
身内にも詳細は伝えられない。」
「おあつらえ向きさ。俺は自分一人の力で生きる。死ぬ時も一人だ。それでいい。」
「え…なに…どうなってんの…?」
「あぁ…ナマエはいなかったからね。」
「えぇ…。」
「え、どういうこと…?」
「明朝○八○○までに宿舎に入れ」
「…!Yes,Sir!」
「ふっ…それは明日からだ。…ナマエ、いいだろ?」
ふと見れば、決意の固いアルトの瞳…。
―そういうことか…。
「私が決めることではありません。早乙女アルトが決めたことなら尊重し入隊を歓迎します。」
緊張に固まっているアルトの表情が、すこしだけ緩む。
「せーんぱーい!」
「馬鹿野郎、こうなったら徹底的にしごいてやるからな!」
「アルト。」
「…?」
「SMSへようこそ。これで機密の壁はなくなったから…。
ちゃんと、全部、話すね。」
「っ…あぁ…!」
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