7「私はね、すっごく嫌な奴なんだ。
ランカの事、すごく好きなのに…。
なのに、
なのに、
記憶に蓋ができてて、羨ましいと思う私がいて…
こんなきもち、嫌なのに…
それ以上に、ひどくうらやましい。
私も、蓋をしたら…
楽になるのかな…
ねぇ、ミシェル…」
涙をいっぱいためて言うナマエ。
「ナマエはそれでいいの?」
優しい言葉をかければ、この場は納まるかもしれない。
「…」
「それで、気がすむの?」
だけど、それじゃなんの解決にもならない。
だから、心を鬼にする。
ナマエの心に刺さる言葉を、選びながら投げかける。
「…」
「済むなら、強制的に蓋をすればいい。今の医療技術ならできるだろうな」
「…」
「でも、なんでナマエはそれをしてないの?
自分の意思で、記憶を、自分の中に思い出をとどめてるんだろ?」
ぽろぽろと涙がこぼれる。
「ほら、涙を拭いて?俺が泣かせたみたいだろ?」
「ミシェルが、泣かせたんだもん…」
ナマエはミシェルに勢いよく抱きついた。
「あっちゃー、ナマエ姫は強引だなぁ。そんなところもキュートだけどね☆」
そっと背中に手を回すと、きつくナマエの腕が回る。
「汚い気持ちは今ここで吐いて、また笑えばいい。」
「…うん…」
「ランカちゃんは、ナマエの事大好きだって言ってたぞ」
「…うん…
私も、ランカのこと好き。次会った時に、黙ってた事謝る。」
「それがいい。だからほら、今はゆっくり…な?」
「…うん…ありがと…ミハエル…」
「それ反則…」
その場は、ミシェルに任せ私は宿舎へ向かった。
こんな顔じゃ、皆に会えないから。
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