マクロス長編 | ナノ


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―オズマの病院へ皆でお見舞いに来た一同。

ミシェル
ルカ
アルト

そして、私。




「そうか…こんなことにならないように仕事のことあいつには隠してたってのに…。」


「隊長…。」

息をのむルカとミシェル。


「私も…ばれちゃいました。」

「俺たち、なにやってるんだろうなぁ…。」

「えぇ…そうですね…。」



そんな空気を破ったのはアルト。
ランカの異常に気付いたことで、オズマにつっかかってる。


「なんなんだ、あいつ。」


観念したように口を開くオズマ。


「ランカはは、親しい人間の怪我や死に対して、異常なまでに反応するんだ。」

「リソシエイティブ・アムネジィア。
解離性欠乏。外傷後ストレス障害等をきっかけに、特定の体験の追走が不可能になる。」


「つまり…一種の記憶障害…だよ…。」


「ランカはもう回復した、構わないか?家に帰したが…。」

「構わない、いつも悪いな…カナリア…。」

「気にするな、チームだ」




「特定の体験って?」



アルトが、踏み込む。
戻れなくなる…。
不安に駆られ、思わず下唇をかむと、そっと腰に手が回る…。



「ミシェ…ル…」

「どうした…顔色が悪いよ…?」

「…そ、んなことないよ。」

「じゃあ…さ…。今だけはこうして?」




ミシェルの両手が私の両耳を塞ぐ。



「っつ…」

「大丈夫。大丈夫だよ」





話声は、ごにょごにょとしか聞こえない。

アルトと、オズマが取っ組み合う。



この話…ランカの過去の話は、自分の記憶もフラッシュバックさせる。

目の前で見た、両親の死。

平気かと聞かれれば、平気だと答える。

でも、辛くないと言えば…それは嘘だから…。


だめだ、気持ち悪い…。



「ごめ…ミシェル…放して…」

「だぁめ。隊長、すみません。ナマエとちょっと屋上に空気吸いに行ってきます。」



「あっ…ああ。悪いな二人とも…。」

「おい!ナマエ!」




「…ごめんね、アルト…。」


引き止めるアルトの声に、私は振り返ることもできなかった。


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