2「…っ…あぁ!!!」
そっと、バルキリーの手でナマエを包み込む。
「うおぉおおぉおぉぉぉおぉぉ!!!!」
―よし…ひとまずこれでランカは大丈夫…。
―後は…私…かぁ…。
―あぁ…ちょっとやばい…かも…
そんな中、追撃をよけ切れず、バルキリーの両腕が落ちる。
ふわりと宙を舞う身体。
デジャヴ?
違うよ、今日二回目なだけ…。
なんて考えていたら、急にものすごい力で吸い寄せられる。
―あぁ、ヤバイ…バジュラの開けた穴…。
このまま行けば…宇宙空間にすぐに投げ出されてしまう…。
あぁ…。
―でももう、エクスギアを操縦するだけの力は…
残ってないや…。
ガキーン!!
同じく吸い寄せられる障害物に全身をぶたれると、ヘルメットが粉砕した。
でもなんでかな、痛みも感じない…。。
「おい!ナマエ!!なんでエクスギア使わないんだよ???!!!―ッッ」
宙を舞い、降り注いできた雫は…ナマエの…血…。
「おいお前!!絶対にそこから離れるなよ!!!」
「えっ…う、うん!!!」
そう。気がついた俺の身体は勝手に動いていた…。
コックピットの淵を勢いよく足で蹴り飛ばす。
宇宙空間に投げ出されたナマエにはもう、俺の声は届いていない。
俺の守りたかったものは、手を伸ばせば届きそうなのに。
俺は…俺はっ…!!!
「ナマエっ!!!」
「・・・」
包み込むように抱きかかえると、コックピットへ引き戻される。
「よし、戻るぞ!!つかまれよ!!」
「…っ!!」
何とか、天井部の自動修復に間に合いフロンティアへと滑り込む。
「おい!ナマエ!おいっ!!!!」
正面から迫るバジュラへの反応が遅れた。
俺には、瞳を強くつぶることしか出来なかった。
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