1「あそこに…ランカ…っ??!」
緑色の髪の毛の女の子…。
ライヴでアルトに抱きかかえられ歌っていた時に見たランカの姿が、
そこにある。
間違いではない、今まさに…バジュラの手がランカに迫っているんだ…。
どうするどうするどうする…っ!
この際、アルトの事は後回し!!人命が優先だ。
「うおおぉおぉぉぉ!!!!!!!!」
アルトが夢中になってトリガーを引く。
『馬鹿か!そんなむやみに打ってどうする!?球切れおこして終わる!』
「でも!でも!でもっ!!こいつを足止めしなくちゃ!!!うあああああ!!!」
『くそっ…!ランカ!!!!!』
pipipi
「おい!ナマエ!!!現状はどうなってるんだ?!」
「…ナマエ…だと…」
「こちらVF-25K。VF-25Fに乗っているのはギリアムじゃない!私は、バジュラに狙われている人命救助に向かう!あとは任せました、隊長!!」
右手を操縦桿から放し、レバーを引く。
エクスギアがバルキリーから勢いよく放出されると、向かうのはランカの先。
オズマの罵声が聞こえてくるけど…今はこうするのが一番の策だと思う。
―バジュラの標的がアルトに変わった…!
…今しかない!!!!!!
「ランカぁああぁあぁ!!!!」
「嫌…いやぁ…う…ぁ…」
「くそ、ランカ!私の目を見て!!!」
ヘルメットのゴーグル部を開けてランカの目を見つめる。
宙をさまよっていた視点が、揺らぎながらも徐々に私に定まる。
「ナマエ…ちゃ…ん…なの…?」
「大丈夫だから、私がランカを守るから…」
「どうし…て…ここ…に…?」
そっと背中に手を回し、大丈夫だと繰り返す。
オズマがバジュラとの間に入り、応戦している。
―早く、この場から離れないと…!!
「おい!ナマエ!危ない!!!!!!」
―響くオズマの声。
―背中に走る、鈍い衝撃。
―…っ…バジュラの…増援…っ…??!
「ガハッ…げほ…っ…かは…」
「ナマエ…ちゃん…どした…の…?」
ボタボタと口から血が溢れてくる。
やば…ランカには見せちゃ…だめだ…。
幸い、ヘルメットの中から血は溢れていない。
いける…
「ダイジョブだよ、ランカ…。アルト…ランカを…連れて…逃げて…!!」
なんとか身体を起こし、エクスギアに神経を集中し、伝達する。
大丈夫、私はまだ動く…!
「で、でも!お前っ…!」
25Fの元へ向かいハッチを空けさせると、後部座席にランカを座らせる。
戸惑うランカに後ろめたさを覚えるも…それどころじゃない。
後部座席のシートベルトがランカを固定したのを確認し、アルトを見据える。
「じゃあア…ルト、私を握っ…て…」
「でも…!!」
「ごめんアルト、正直…もう…目の前かすんじゃって…るんだよね…ぇ…」
―操縦桿にぎれそうにないんだ…。
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