6ざわつく観客席。
ふわり。
宙に浮く身体。
落ちる感覚が身体を支配する。
「きゃぁ!ソラネ?!!!」
聞こえるシェリルの悲鳴。
私はマイクを通して発する。
「みんなも一緒に歌って!いっくよおおおおお!」
頭の端には、落ちたら痛いんだろうなぁとか、結構いろいろ考えてたかもしれない。
でも、両手を広げて近づいてくるアルトに不思議とそんな恐怖も薄れていた。
私は、アルトに精一杯手を伸ばす。
観客もシェリルも、私の一声に安心したのか会場が一つになり歌いだす。
―あぁ…これなら最悪私が落ちても、ライヴはコケないなぁ…。
なんて考えてたら、ふわりと宙に浮くカラダ。
先ほどの命綱なしのバンジーとは違う、エクスギアのなれた浮遊感が私を包み込む。
「す…すまない、すぐに「アルト飛んで!このまま観客席上を!!」…ナマエ…あぁっ!!」
―もってっけー!
顔出しを全くして来なかったソラネが頭上を飛んでいる。
観客席からは一層濃い歓声が溢れる。
なんだか、逆にパフォーマンスとして成立してる。よし!行くよ!!
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