3北京エリアにある、天空門。
フロンティア最大級の多目的ホール。
ここで、リハーサルを兼ねた顔合わせなどが行われる。
美星のみんなも来てるみたいだけど、私はソラネとして打ち合わせ。
「おはようございます」
「おはようございます!」
「おはようございます!」
「おはよ!」
少しカワイコぶるシェリルと、
「おはようございます。」
サングラスをかけ、ショートヘアーのソラネ。
シェリルはにこっと微笑み、ソラネは手を振る。
「はぁぁ、銀河の妖精と天空の歌姫ですよぉ」
それには思わず、美星の生徒も恍惚を浮かべる。
―おいおい…あれがナマエとか…信じられねぇ…。
しかし、歩きだしたシェリルは不満そうな表情を浮かべる…。
(これは絶対あれに文句言うなぁ…。)
「何あの子たち!ファンを裏に入れるのはやめてって言ったはずよ!」
―ほいきたー…。
「あれは、オープニングの…アクロバット飛行をする学生たちです。」
新統合軍より警護にあたっているキャサリンさんがすかさずフォローを入れる。
「学生って…私のライブスタッフにアマチュアを入れたの?!」
「…っ!彼等は学生といっ「シェリル。」」
キャサリンさんの発言を遮り、思わず出る言葉。
「シェリル。あの学生たちは私のクラスメイトです。いくらシェリルでも侮辱は許さないよ。」
「っ…ナマエ…。でも…私はライヴの邪魔されたくないの。控えて飛ぶように言っておいて!」
「(―あー…アルトのコークスクリュー…)でも「ソラネ!…あなたなら分かるはずよ!プロの仕事…ってものが…ね…。」…」
ふんっ!っと踵を返し控室に入ってしまったシェリルと、そのあとをつけて申し訳なさそうに一礼するグレイス。
ああなったシェリルはもう誰の言うことも聞かない。
「…はぁああぁぁ…。」
「…何が銀河の妖精よ…小悪魔の間違いなんじゃないの?」
ぼそりと吐かれるキャサリンさんの毒。
「あぁー…なんだか少しわかります…。」
「ぅえっ!?まさか、私…口に…出てました…?」
一瞬で蒼白になるキャサリンさん。
「あぁ!お気になさらずに!シェリルのそういう所、昔から変わらないので…。」
私だって、シェリルのあの態度には腹立ちますもん!
キャサリンさんも警護大変ですね…。
どうか、あまりお気を悪くせずに…お願いしますね。
―そんなことを言ってのけるソラネさん。
顔出しを拒むって、どれだけ自信に充ち溢れてるのか…実は少し興味があった。
だけれど、そんなの空想にすぎなかったってわけで…。
とても申し訳ない気持ちになった。
prev|
next